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長崎
ながさき
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「芥川龍之介全集 第九巻」 岩波書店
1996(平成8)年7月8日発行
初出「婦女界」1922(大正11)年6月
入力者もりみつじゅんじ
校正者松永正敏
公開 / 更新2002-10-08 / 2014-09-17
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 菱形の凧。サント・モンタニの空に揚つた凧。うらうらと幾つも漂つた凧。
 路ばたに商ふ夏蜜柑やバナナ。敷石の日ざしに火照るけはひ。町一ぱいに飛ぶ燕。
 丸山の廓の見返り柳。
 運河には石の眼鏡橋。橋には往来の麦稈帽子。――忽ち泳いで来る家鴨の一むれ。白白と日に照つた家鴨の一むれ。
 南京寺の石段の蜥蜴。
 中華民国の旗。煙を揚げる英吉利の船。『港をよろふ山の若葉に光さし……』顱頂の禿げそめた斎藤茂吉。ロティ。沈南蘋。永井荷風。
 最後に『日本の聖母の寺』その内陣のおん母マリア。穂麦に交じつた矢車の花。光のない真昼の蝋燭の火。窓の外には遠いサント・モンタニ。
 山の空にはやはり菱形の凧。北原白秋の歌つた凧。うらうらと幾つも漂つた凧。



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