えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索

車室
しゃしつ
作品ID1423
著者漢那 浪笛
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
初出「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年1月8日
入力者坂本真一
校正者良本典代
公開 / 更新2017-01-05 / 2016-12-09
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より


一頭のやせ馬に、
ひかれゆく黒塗りのかた馬車。
乗ひ合は六人、
その中に一人の若かい女。

膝向き合はした客は、
お互に眼をひらめかし、
たゞ無言。
――疑ひの多き車内だ。

沙漠に似たる車内に、
一人の若かい女、
今宵の旅の疲れに、
一つの慰めとなる。

あゝ車内の若かい女、
夜のランプにたとへやう?。
その異性の光は、
私の淋しい心を照らす。

時々色と匂ひと、
車のゴタック毎にとろけて、
静かになつかしく、
膩にしんた肉にふるゝ。

哀れなものはやせ馬、
鼻息荒らく、たゆむ隙がない、
鞭の鳴る毎に
いや更に走る。



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko