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魔法修行者
まほうしゅぎょうしゃ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「幻談・観画談 他三篇」 岩波文庫、岩波書店
1990(平成2)年11月16日
入力者土屋隆
校正者オーシャンズ3
公開 / 更新2007-12-18 / 2014-09-21
長さの目安約 33 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 魔法。
 魔法とは、まあ何という笑わしい言葉であろう。
 しかし如何なる国の何時の代にも、魔法というようなことは人の心の中に存在した。そしてあるいは今でも存在しているかも知れない。
 埃及、印度、支那、阿剌比亜、波斯、皆魔法の問屋たる国[#挿絵]だ。
 真面目に魔法を取扱って見たらば如何であろう。それは人類学で取扱うべき箇条が多かろう。また宗教の一部分として取扱うべき廉も多いであろう。伝説研究の中に入れて取扱うべきものも多いだろう。文芸製作として、心理現象として、その他種[#挿絵]の意味からして取扱うべきことも多いだろう。化学、天文学、医学、数学なども、その歴史の初頭においては魔法と関係を有しているといって宜しかろう。
 従って魔法を分類したならば、哲学くさい幽玄高遠なものから、手づまのような卑小浅陋なものまで、何程の種類と段階とがあるか知れない。
 で、世界の魔法について語ったら、一月や二月で尽きるわけのものではない。例えば魔法の中で最も小さな一部の厭勝の術の中の、そのまた小さな一部のマジックスクェアーの如きは、まことに言うに足らぬものである。それでさえ支那でも他の邦でも、それに病災を禳い除く力があると信じたり、あるいはまたこれを演繹して未来を知ることを得るとしたりしている。洛書というものは最も簡単なマジックスクェアーである。それが聖典たる易に関している。九宮方位の談、八門遁甲の説、三命の占、九星の卜、皆それに続いている。それだけの談さえもなかなか尽きるものではない。一より九に至るの数を九格正方内に一つずつ置いて、縦線、横線、対角線、どう数えても十五になる。一より十六を正方格内に置いて縦線、横線、対角線、各隅、随処四方角、皆三十四になる。二十五格内に同様に一より二十五までを置いて、六十五になる。三十六格内に三十六までの数を置いて、百十一になる。それ以上いくらでも出来ることである。が、その法を知らないで列べたのでは、一日かかっても少し多い根数になれば出来ない。古代の人が驚異したのに無理はないが、今日はバッチェット方法、ポイグナード方法、その他の方法を知れば、随分大きな魔方陣でも列べ得ること容易である。しかし魔方陣のことを談るだけでも、支那印度の古より、その歴史その影響、今日の数学的解釈及び方法までを談れば、一巻の書を成しても足らぬであろう。極[#挿絵]小さな部分の中の小部分でもその通りだ。そういう訳だから、魔法の談などといっても際限のないことである。
 我邦での魔法の歴史を一瞥して見よう。先ず上古において厭勝の術があった。この「まじなう」という「まじ」という語は、世界において分布区域の甚だ広い語で、我国においてもラテンやゼンドと連なっているのがおもしろい。禁厭をまじないやむると訓んでいるのは古いことだ。神代から存したのである。しかし神代のは、悪いこと兇なる…

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