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ワンダ・ブック――少年・少女のために――
ワンダ・ブック――しょうねん・しょうじょのために――
原題A WONDER BOOK FOR BOYS AND GIRLS
著者
翻訳者三宅 幾三郎
文字遣い新字新仮名
底本 「ワンダ・ブック」 岩波書店、岩波文庫
1937(昭和12)年9月1日発行
入力者山本洋一
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2004-01-13 / 2014-09-18
長さの目安約 298 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

     訳者のことば

「ワンダ・ブック」A Wonder Book for Boys and Girls, 1852. は「少年少女のために」書かれたものではありますが、それがために調子をおろしてかかったようなものでないことは、作者ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne, 1804―1864. が、その「はしがき」で述べている通りです。ホーソンはアメリカ文学史上、一二をあらそう大作家であります。そんな立派な人が、こうした美しい物語を書きのこしてくれたことは、少年少女にとって、非常な仕合せといわなければなりません。
 ホーソンは、一八〇四年に、マサチウセッツ州のセイレムという古い港町に生れました。彼の祖先は英国から渡って来た清教徒でした。彼の祖父は独立戦争の時、船長として勇ましい働きをしました。父もまた船長でしたが、ホーソンの小さい時になくなりました。母一人の手で育てられながら、彼が「今に船乗りになって二度と帰って来ない」などと言い出したのも、祖父や父のことが頭にあったからでしょう。しかし彼は、ふとしたことから、本を読むことが好きになり、自然をこまかく見たり、物事を深く考えたりするようになりました。そして、作家になろうという決心は、大学へはいる前からついていたようです。母に宛てた手紙の、興味ある次のような一節で、それがよく分ります。
『私は、他人の病気で食べて行くお医者さんにも、他人の罪で食べて行く牧師さんにも、また他人のあらそい事で食べて行く弁護士にもなりたくありません。すると、私は作家になるほか道がないと思うのです。お母さんは今に、息子の書いた「ホーソン全集」で、本棚をお飾りになる日が来るのを、嬉しいとは思いませんか。』
 こんな考え方が正しいとばかりはいえませんが、とにかく、いかにも清教徒の血をうけた少年ホーソンらしい手紙だと思います。
 大学へはいってからの彼は、ギリシャ語やラテン語が特によく出来て、また即座に空想的な物語を考え出して、それを上手に話して聞かせるので評判になりました。「ワンダ・ブック」のお話は、どれもユースタス・ブライトという大学生が、休暇で帰って来て、子供達に話して聞かせる形になっていますが、作者はおそらく、自分の学生時代のことを思い出しながら、それを書き綴ったものと思われます。さて、「ワンダ・ブック」のことはあとにして、ホーソンの大学時代の友人の中には、後にアメリカ第一の詩人となったロングフェロウ、大統領に選ばれたピヤース、海軍にはいって名をあげたホレイショウ・ブリッヂなどがいました。
 この人達は、えらくなってからも、みんなで、ホーソンにたいへん親切をつくしました。というのは、名前が少し売れて来た時でも、隣り近所の人達さえホーソンの顔を知らなかったというくらい、彼は世間ばなれのした生活を送っていたので、友…

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