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饑餓陣営
きがじんえい
副題一幕
ひとまく
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「新編 銀河鉄道の夜」 新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日
入力者土屋隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2005-02-28 / 2014-09-18
長さの目安約 15 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

人物 バナナン大将。
   特務曹長、
   曹長、
   兵士、一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
場処 不明なるも劇中マルトン原と呼ばれたり。
時  不明。

幕あく。
砲弾にて破損せる古き穀倉の内部、辛くも全滅を免かれしバナナン軍団、マルトン原の臨時幕営。
右手より曹長先頭にて兵士一、二、三、四、五、登場、一列四壁に沿いて行進。
曹長「一時半なのにどうしたのだろう。
バナナン大将はまだやってこない
胃時計はもう十時なのに
バナナン大将は帰らない。」
正面壁に沿い左向き足踏み。
(銅鑼の音)
左手より、特務曹長並に兵士六、七、八、九、十 五人登場、一列、壁に沿いて行進、右隊足踏みつつ挙手の礼 左隊答礼。
特務曹長「もう二時なのにどうしたのだろう、
バナナン大将はまだ来ていない
ストマクウオッチはもう十時なのに
バナナン大将は帰らない。」
左隊右壁に沿い足踏み(銅鑼)
曹長特務曹長(互に進み寄り足踏みつつ唱う)
「糧食はなし 四月の寒さ
ストマクウオッチももうめちゃめちゃだ。」
合唱「どうしたのだろう、バナナン大将
もう一遍だけ 見て来よう。」別々に退場
(銅鑼)
右隊登場、総て始めのごとし。可成疲れたり。
曹長「もう四時なのにどうしたのだろう、
バナナン大将はまだ来ていない
もう四時なのにどうしたのだろう。
バナナン大将は帰らない。」
左隊登場
「もう四時半なのにどうしたのだろう、
バナナン大将はまだ来ていない
もう五時なのにどうしたのだろう
バナナン大将は 帰らない。」
(銅鑼)
曹長特務曹長
「大将ひとりでどこかの並木の
苹果を叩いているかもしれない
大将いまごろどこかのはたけで
人蔘ガリガリ 噛んでるぞ。」
(銅鑼)
右隊入場、著しく疲れ辛うじて歩行す。
曹長「七時半なのにどうしたのだろう
バナナン大将はまだ来ていない
七時半なのにどうしたのだろう
バナナン大将は 帰らない。」
左隊登場 最労れたり。
曹長特務曹長
「もう八時なのにどうしたのだろう
バナナン大将は まだ来ていない。
もう八時なのにどうしたのだろう
バナナン大将は 帰らない。」
(銅鑼)
立てるもの合唱(きれぎれに)
「いくさで死ぬならあきらめもするが
いまごろ餓えて死にたくはない
ああただひときれこの世のなごりに
バナナかなにかを 食いたいな。」
(共に倒る)(銅鑼)
バナナン大将登場。バナナのエボレットを飾り菓子の勲章を胸に満せり。
バナナン大将
「つかれたつかれたすっかりつかれた
脚はまるっきり 二本のステッキ
いったいすこぅし飲み過ぎたのだし
馬肉もあんまり食いすぎた。」
(叫ぶ。)「何だ。まっくらじゃないか。今ごろになってまだあかりも点けんのか。」
兵士等辛うじて立ちあがり挙手の礼。
大将「灯をつけろ、間抜けめ。」
曹長点燈す。兵士等大将のエボレット勲章等を見て食せん…

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