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あやしき楽の音
あやしきがくのね
作品ID2040
著者漢那 浪笛
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
初出「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年6月2日
入力者坂本真一
校正者良本典代
公開 / 更新2017-03-19 / 2017-01-20
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


かつて、きゝし折りなき楽の音!
今宵、心にしのび入る。

絃はわななき震ひ、
果ては――蒼き涙にむせぶ。

眼に見ゑず、心にとまるメロディよ!
知らず、深き迷ひにいらしむ。

吾れはなつかしき女の声とや聞き、
底なき闇の中、メロディの消ゆる処へ
しづまむ。



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