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婦人と文学の話
ふじんとぶんがくのはなし
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十巻」 新日本出版社
1980(昭和55)年12月20日
初出「文学新聞」日本プロレタリア作家同盟機関紙、1932(昭和7)年2月20日号
入力者柴田卓治
校正者米田進
公開 / 更新2003-02-03 / 2014-09-17
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 われわれの『文学新聞』が、今度「婦人欄」を特別に設け、そこへ面白いためになる婦人と文学とに関する種々な記事を精力的にのせることになったのは、実にうれしい。プロレタリア文学に、女のプロレタリア文学、男のプロレタリア文学というような区別があるはずがない。プロレタリア・農民としての女、男の全生活が階級としての芸術的表現をとおして、プロレタリア文学のなかにこめられているのだ。
 けれども、現実の問題として見るとき、日本におけるプロレタリア・農民の婦人のこまごまとした本気な日常闘争の経験は、果して十分日本のプロレタリア文学の中に描きつくされているだろうか?
 工場閉鎖、賃銀不払、労働強化、三百万の失業と農業恐慌――資本家地主は遂に満蒙で帝国[#「帝国」に×傍点、伏字を起こした文字]主義侵略戦争[#「侵略戦争」に×傍点]を始め、飢えた勤労大衆の血[#「血」に×傍点]で、植民地再分割[#「分割」に×傍点]とソヴェト同盟干渉戦争[#「干渉戦争」に×傍点]に着手している。プロレタリア・農民の女の生活はこういう状態の下で、切ない男の生活より更に切ない最悪の条件におかれている。資本主義が行詰ると、女と子供とを一層むごく搾りはじめる。男の半分以下の賃銀でこき使うばかりでない。帝国[#「帝国」に×傍点]主義戦争[#「戦争」に×傍点]に働き手である夫や兄を奪われ、一番惨めな境遇に立つのはプロレタリア・農民の女だ。しかも資本家地主の狡さ極まりないことには、こうして搾りつけるに便利なようにと、処女会だの御用雑誌だのをつかって、プロレタリア・農民の女の文化の程度を何処までも奴隷的な低さに止めて置こうとする。あらゆる職場で、資本主義社会の髪も抜け落ちる程、婦人を搾取しながら、いざとなると「何だ女のくせに生意気な! おとなしくしろ!」と、どやしつける。――どやされても引込まなくなったのが、今日のプロレタリア・農民の婦人大衆だ! 婦人の階級闘争の場面は、決してストライキ、農村争議だけには限られていない。毎日の台所に、出産の床に、八百屋で買う一銭の葱の中にまでしみとおっている。プロレタリア文学はくまなく、此等の現実を、プロレタリア・農民の生活全体に関連する事実として、描写しなければならないのだ。
 男の作家が書くばかりでなく、婦人のプロレタリア作家がもっともっと多勢出て来て、独特の実感で、日夜闘う婦人大衆の経験の隅から隅までを活々と書かねばならないのだ。
 日本プロレタリア作家同盟の婦人委員会は、婦人をこめてプロレタリア作家が、どんな風に作品活動をして行くべきかを研究すると同時に、婦人を主とする文学サークル発展のため、婦人通信員養成、婦人作家獲得のため益々積極的な活動を開始している。われわれは一人でも多く職場大衆の中から婦人サークル員を、婦人通信員を、婦人作家をもたねばならない。一人新しい婦人のプ…

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