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労働者農民の国家とブルジョア地主の国家
ろうどうしゃのうみんのこっかとブルジョアじぬしのこっか
作品ID3149
副題ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制
ソヴェトどうめいのこっかたいせいとにほんのこっかたいせい
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十四巻」 新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日
初出「拾銭文庫」第一輯、日本プロレタリア文化連盟、1932(昭和7)年12月10日発行
入力者柴田卓治
校正者米田進
公開 / 更新2003-07-27 / 2014-09-17
長さの目安約 57 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 はしがき
一、現在のソ同盟の労働者・農民の生活
二、ソヴェト同盟の兄弟たちは、どんな闘争を通じて勝利を得たのか
三、ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制

        はしがき

 去る九月十八日、日本、満州国の全土にわたって、支配階級の命令に基いて、「満州事変」一週[#「週」はママ]年記念の祝賀と示威が行われた。ブルジョア新聞は号外を発行し、戦死者の慰霊祭が各地で催され、赤松一派の天皇[#「天皇」に×傍点]主義的ファシストは「忠君[#「君」に×傍点]愛国[#「国」に×傍点]」の示威行列をもって天皇[#「天皇」に×傍点]に忠誠を誓った。労働者・農民・勤労者大衆は、戦争によって益々、窮乏のどん底に追いこまれ、一切の反抗が、非常時の名によって、憲兵と警吏の手でふみにじられているとき、支配階級とその一切の手先は、戦争一週[#「週」はママ]年を祝賀したのである。そして、「挙国一致、軍民一体、只管に皇軍使命の達成に邁進すべきことを、切に祈念する次第である」(荒木陸相、九月十八日、読売新聞)と云い、ブルジョア地主的政府[#「政府」に×傍点]の侵略政策の強化を新たに誓ったのである。
 世界経済恐慌の行き詰りを深刻に経験しつつある日本帝国主義が、列強帝国主義の最も弱い一環として、其故にこそ必死になって、中国の殖民地的再分割、中国革命の圧殺を目的とする侵略戦争を開始して、既に一年が経過したのである。去年の九月十八日に怪しげな満鉄爆破事件をきっかけとして開始された日本帝国主義の侵略戦争は、常に「満州事件」或は「上海事変」などと一見局部的に感じられる呼名で報道されて来ている。しかし、その偽瞞のかげに日本帝国主義の軍事行動は、ソヴェト同盟への侵略を目指し、米国との対立をつつむ第二次世界戦争の準備に向って、計画的に拡大されているのである。満州国の占有は満州における日本帝国主義の軍需工業原料生産地として、もくろまれたばかりではない。ソヴェト同盟侵略のための屈強な軍事上の足場としてつかまれたものだ。匪賊(実は日本帝国主義侵略に対して奮起せる中国のプロレタリアート・農民の武装蜂起)討伐の名をかりて日本帝国主義がその兵力をたゆみない陰険さで、ソヴェト同盟の国境に近く近くと展開させつつあることは、ブルジョア新聞の記事によってさえ明かである。
 今、このブルジョア地主的政府[#「政府」に×傍点]は、日本資本主義の行き詰りを国内においては労農大衆への苛酷な搾取と支配の強化、又一方、殖民地再分割の帝国主義戦争、特に反ソヴェト干渉の戦争によって切り抜けようとしている。
 だが、列国帝国主義の憎悪のなかで、革命第十五週[#「週」はママ]年を迎えるソヴェト同盟とはいかなる国であるか?
 我々、労働者・農民は「ソヴェト同盟を守れ」というスローガンを掲げて闘っている。吾々は何故、ソヴェト同盟を労働者・…

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