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婦人民主クラブ趣意書
ふじんみんしゅくクラブしゅいしょ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十五巻」 新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日
初出「婦人民主クラブ趣意書」1945(昭和20)年12月
入力者柴田卓治
校正者米田進
公開 / 更新2003-09-14 / 2014-09-18
長さの目安約 3 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 これまで、私たち日本の女性は、何と散り散り、ばらばらな暮しかたをして来たことでしょう。戦争の間、官製の婦人団体は、戦争目的を遂げるために、つよい力を発揮してあらゆる婦人を各方面へ動員しました。
 農村で、工場で、婦人は男子に優るとも劣らぬ国の力で女子として、わが身を尽して働かされました。けれども、その動力となって軍事目的に協力したこれらの婦人団体は、終戦後の今日、破壊された食糧事情、混乱している経済事情によって日本の婦人が日夜名状しがたい困難を負うているに当って、どのような実際の助力を計画しているでしょうか。
 戦時中婦人を駆りたてて戦力の一部としたすべての婦人団体は、最もその責任を明らかにしなければならない今、尨大な数に達する婦人の離職者、寡婦、戦災孤児などの不幸な生存の危機を救う、どんな誠意も実力も喪っております。新聞は、大都市における婦女子の犯罪が日ましに増大しつつあることを警告しています。
 私たち日本の婦人は、これらすべての軍事を決して他人事として感じておりません。新しい日本が、より人間らしい世界正義の道に立って進んでゆくために、苦難を経験しつつある日本婦人の社会的成長の一つの目標として婦人参政権も認められたとき、私たちは、これからこそ、重苦しい過去の絆をふりはらって、思慮と勇気とに満ち、女らしい聰さにみちて、明日の明るい日本を建設するために扶け合わなければなりません。
 物を云う家畜のように群をなして追い立てられ、疲れ果てた体と心とを休めるためには、小さい屋根の下の灯と一つの炉ばたしかもたなかったこれ迄の生活は、日本の婦人にとって余りみじめではなかったでしょうか。私たちは、婦人の生活上の力量がこの社会のより幸福な組立てのために、どれほど重大な価値をもっているかを自覚しなければなりません。その自覚に立って、社会全体の向上というひろい見地から婦人共通の福祉のために配慮し、協働し、それを実現して行かなければなりません。民主的な社会の建設ということの実体はここにこそあると思われます。精神に於ても肉体に於ても、一人一人の日本婦人のうちに隠されている能力の、最大の可能が導きだされなければなりません。
 生きることを心から愛する私たち日本の婦人、努力を惜しまず、平和と幸福との社会的な保証を熱望する私たち日本婦人は、率直にそれらの真情を吐露しながら、世界の歩みと倶に自分たちの実力を高め、希望を実現してゆく方法を学び、その忍耐づよさに最後の輝きを添える社会的な積極性を身につけようと願っております。
 婦人民主クラブは、そういう希望の婦人たちの集りとして創立されます。最初の発端は数人の間でまとめられたにしろこれは日本全国のすべての婦人たちのものです。日本全国のすべての婦人が、その苦痛の解決のために、希望の具体化のために、よろこばしい諸成果をともどもに愉しむために、…

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