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再刊の言葉
さいかんのことば
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十五巻」 新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日
初出「働く婦人 再刊号」日本民主主義文化連盟、1946(昭和21)年4月
入力者柴田卓治
校正者米田進
公開 / 更新2003-09-14 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




『働く婦人』がまた発行されることになりました。こんど初めて手にとる方も多いでしょうが、なかには、まあ、『働く婦人』がまた出るようになったか、と、心からよろこんで読んで下さる方も少くないだろうと思います。
 毎日の生活に関係の深いいろいろな社会の出来ごとについて、正しい知識を得るとともに、本当に私たちの婦人雑誌として可愛く思う『働く婦人』が、創刊されたのは、今より十四年前(一九三二年)一月のことでした。空色の地に明るい表情の婦人車掌の姿が描かれた表紙でした。そして、読むかぎりの人みんなに親しまれる雑誌でした。ところが僅か三号出したばかりのとき、発行元であった日本プロレタリア文化連盟が、つい先頃まで私たちを苦しめた治安維持法という悪法によって弾圧され、『働く婦人』の刊行は、非常に困難に陥りました。折角出来上った雑誌をそっくりそのまま警察の手で押えられるというひどいことなどもありました。当時『働く婦人』の編輯に働いていた人々は、男も女も、実にひととおりでない苦労をして、何とか雑誌を出しつづけようとしました。けれども遂に『働く婦人』はたとえて云えば、物を云いたい口に猿ぐつわをはめられたようにして、潰されたのでありました。
 日本が民主日本として新しく発足しようとし、こうしてまた再び『働く婦人』をみなさんにおくれるようになったのは、何とうれしいことでしょう。私たちの此頃は、重大な問題でぎっしりです。私たちは、自分たちの生活を一歩一歩と幸福に近づけるために、知らなければならないこと、知りたいことで一杯です。真面目に働いて生活の向上を願う私たち婦人のために、わかりやすく、しかも偽りなく働く婦人の立場に立って、知識とよろこびと慰めを与える『働く婦人』を、今度こそ立派な雑誌として行きたいと思います。
〔一九四六年四月〕



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