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自然に学べ
しぜんにまなべ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十五巻」 新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日
初出「婦人民主新聞」1946(昭和21)年9月12日号
入力者柴田卓治
校正者米田進
公開 / 更新2003-09-17 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 明日の女らしさ、男らしさ。(川上まさ子さんへの答)のびのびとした手脚と美しく張った胸。女性の肉体の魅力は解放された女性の肉体にこそあります。まめやかで、創意にみちた精神の輝きのあふれた眼ざしと、よく働きよく笑う女性の笑顔を、どんな男がまねられましょう。
 これまで日本の女性にあてはめられていた女らしさは、男の扮する女形で表現されました。ここに今日の少女たちが身にそなえはじめている自然な女らしさと全く異った不自然さがあったことが証拠だてられております。女形の身ごなしで表現され得た女らしさにもられた女ごころというものも、つまりは古い男心の伝統が描き出したものであったとさえ云えるでしょう。
 封建の女らしさは、やっと本当の女の自然な女らしさに生れ更ろうとしています。今日若い女性はその歴史の変りめにいます、或る場合には、古い女らしさをすててもまだ十分味のたっぷりした新しい民主日本の女らしさが熟していないときもありましょう。赤いリンゴも青かったのです。
 新しい日本の女らしさは、いま先ず自然であろうとしています。古い型がこわれて新しい型が完成しないうちはいろいろ古い趣味に添わないことも起りましょうが、若い日本の女性よ。どうかあなたがたが生粋の女性であることに自信をもって自然に動き、自然に発言し、自然が聰明であるように考えぶかくあって下さい。女は女以外のものではあり得ません。
 女らしさについて、そういう理解をもつことこそ、明日の男らしさ、頼もしい雄々しさであろうと思います。女に対して荒々しく君臨する男は、いつの時代も男の中の男とはいえませんでした。日本は明治のはじめより、軍国主義につつまれていて、封建的な男らしさは、明治になっても軍人としての男らしさによりかえられたままでした。女性を憐れむばかりではなく、半身である女性とともにこそ男の民主的生活への解放があることを知る男らしさを待望いたします。
〔一九四六年九月〕



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