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求め得られる幸福
もとめえられるこうふく
副題今こそ婦人の統一を
いまこそふじんのとういつを
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十五巻」 新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日
初出「アカハタ・ウィークリー」1949(昭和24)年2月28日号
入力者柴田卓治
校正者米田進
公開 / 更新2003-09-26 / 2014-09-18
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 今日は世界の婦人が平和と生活の安定のために手をつなぎあって働いていますが、私たち日本の婦人こそもっとも積極的に平和のため闘う立場にあります。なぜなら、こんどの戦争でもっともいためつけられたのは日本の婦人であり、それでいながら、今日でもまだ封建的な立場から解放されきっていないのが私たち日本の婦人ですから。ファシズムの下で戦争にかりたてられ不安のどん底におちいった国の婦人たちが、四年経った今日、イタリアなどではおどろくほど多数の婦人がファシズムに反対し、人民の民主主義を建設するための統一戦線に組織されています。日本ではどうでしょう。婦人の生活の辛さにかかわらず、婦人の民主的な統一戦線は、たえまない保守勢力の妨害によって十分発展されていません。政府が人民生活を再建出来ないでインフレーションの波のまにまに、当選したかと思うと、たちまち選挙違反で検挙されるような代議士の頭数ばかりあつめて、大臣病にきゅうきゅうとしているとき、もし私たち婦人が、心から自分の運命を守ってたち上らないならば、だれが明日の生命を保障してくれるでしょう。前回の総選挙で百万票を得た日本共産党が、今回の選挙で三百万票を得ました。このことに生活の現実と戦争挑発に対する婦人の抗議が雄弁に示されています。
 終戦後日本にも平和をめざす婦人団体がいくつかつくられたけれども、それらの婦人団体の目標は多くの場合「まずめいめいのうちに心の平和を」とか「平和のために労資協調を致しましょう」とかいうものです。現代の戦争が資本主義そのものの病弊であるとき、その原因が合理的にとりのぞかれないで、どうして本当の平和があり得ましょう。もうだれでも、これまでのままの資本主義の社会では人民の幸福がないことをさとっています。それでは苦しい経験をかさねている日本の婦人のすべてが、はっきりと民主的な勢力に結びあって将来の不幸を徹底的にとりのぞこうとしているのでしょうか。この重大な必要はまだ十分理解されていません。
 選挙場に土足でふみこむ吉田首相が、首相として泰然自若と首切りにとりかかりはじめたのは、民自党が第一党になったからです。税に苦しめられ、物価高に苦しめられ、やっと子供を教育しようと思っている母親に、今日の新聞(二月二十一日読売)の文相高瀬荘太郎の話はなんとひびいたでしょう。文相は、父兄からのつけとどけのない大学教授たちの生活難について語り、私立学校の入学にからむ父兄からのつけとどけを、やむを得ないことだと語っています。これには漫画家の近藤日出造氏もあきれています。そうとまでは知らず、こういうありがたい文相をこしらえるような投票をした幾人かのお母さんは、今日このごろの新学期をひかえて、人にいえない苦労をかさねているかも知れません。こういうひとつひとつのことのうちに、私たち婦人がはっきりと態度をきめてたたかってゆかねばならぬも…

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