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現代唯物論講話
げんだいゆいぶつろんこうわ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「戸坂潤全集 第三巻」 勁草書房
1966(昭和41)年10月10日
初出「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
入力者矢野正人
校正者青空文庫(校正支援)
公開 / 更新2012-05-24 / 2014-09-16
長さの目安約 504 ページ(500字/頁で計算)
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本文より





 現代唯物論の対象となるものを物質論・認識論・科学論・文化論・の四部門に分けて見た。存在が物質であり、之を認識するのが認識であり、その認識が科学に組織されるのであり、そして科学は文化に包括される、と考えたからである。夫々の部門に適当な論文を配置して統一を与えた。
 各部門がこれ等の論文で要を尽しているなどとは到底思われない。寧ろ当然載るべき個処の論文が載っていない場合の方が多い。云わば之は、私の原子番号の内で今後の発見をまつ処のものである。論文は学究的乃至解説的なものを主とする。数年前のものもあるが加筆して編集した。
「空間論」は昔から多少纏めて見たいと思っていたので、之までどの論文集にも再録しなかったけれども、今の処ではいつ眼鼻がつくとも判らないので、ここに加えることにした。之は私を唯物論へ導く働きをしたものの一つで、思い出のあるものだが、空間問題は数年来理論的材料が増加しているので、私の論文が数年分後れた考察となったのは已むを得ない。いつか機を見て物にしたいと思っている題材である。――なおこの書物に現われた内容上形式上の甚だしい不備の点は、いつか恢復しなければならぬと考えている。

 最後の論文(一〇、現代唯物論と文化問題)は新しく書いたもの。他のは『岩波講座』(「哲学」・「生物学」・「教育」)・『唯物論研究』・『理想』・『改造』・『中央公論』・其の他に一旦載ったものである。――なおこの書物の内容は、私の他の著書と密接な関係がある。奥付裏の著作表*を参照されるなら幸である。
  一九三六・一二
東京
戸坂潤
[#改ページ]


第一部 物質論





一 「物質」の哲学的概念


 吾々の社会生活は、いつも一定の歴史的に与えられた生産関係内で行なわれている。そして今日の生産関係は就中物質的技術過程に制約される処が愈々多い。社会人としての今日の吾々は、この物質的技術過程を通して初めて、自然に対する高度の具体的な交互作用を有つことが出来る。処が技術というものは、多くの人達が比較的常識的にではあるが特徴的に説明する限り、或る意味に於ける科学の応用又は科学そのものでさえあり、而も技術がその本来の形態と本来の意味とに於ては物質的技術でなければならない限り、それは代表的には自然科学の応用又は自然科学そのものだとさえ云わねばならぬ。だから結局、自然科学乃至技術が今日の生産関係に対する交互関係は、生産関係にとって終局的な決定関係ではないにしても、極めて重大な決定関係にあると云うことが出来る。
 で、こうした生産関係の上に立てられている政治組織や諸文化体系は、今日何処の国、どの国民にとっても、自然科学乃至技術の組織・自然科学乃至技術の範疇体系・から独立であることが出来ないばかりではなく、積極的にこの範疇体系との連帯関係・共軛性・を保持し又は回復しなければならな…

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