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空の美
そらのび
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十七巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日
初出「国民新聞」1926(大正15)年8月4日号
入力者柴田卓治
校正者磐余彦
公開 / 更新2003-11-21 / 2014-09-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 空の美しさという場合、大抵広々とした空、晴やかな空などという。
 郊外に住むようになってから、私は更に種類の異う空の美があることを知った。それは、大都会の上の空――大都会のペーヴメントに立って仰ぐ空の美しさだ。空はそこでは、ただのん気に広々としてはいない。高い建物、広告塔、アンテナ、其等の錯綜した線に切断され、三角の空、ゆがんだ六角の空、悲しい布の切端のような空がある。
 屋根と屋根との狭いすき間からマリが落ちたような月の見える細長い夜の空、郊外の空にない美があるのを感じる。
〔一九二六年八月〕



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