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同志たちは無罪なのです
どうしたちはむざいなのです
作品ID3900
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十七巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日
初出「働く婦人」1932(昭和7)年9・10月合併号
入力者柴田卓治
校正者磐余彦
公開 / 更新2003-11-27 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 何より先に、わたし達はこれらの勇敢な同志たちがほんとは何の罪もなく全くの無罪であるという事をはっきり知らなければならないと思います。先頃求刑のあった最終日に同志佐野学は立って堂々と階級的闘士の無罪であることを述べました。抑々資本家地主の支配階級に対してプロレタリア農民が奮起し、闘うのは何故か。搾取があるからです。搾取を一刻でも長くつづけようとするために、あらゆる方法で行われる抑圧があるからです。それらを可能にしている資本主義体制と闘うのは、歴史の必然の力であります。支配階級が彼等の利益と権力とを擁護するためにこしらえている法律に、われわれ働くものの意志は反映していない。そこには抑圧し、無力にさせようと欲するものの意志があるだけです。われわれの尊敬すべき前衛には判決せられるような真実の罪はどこにもない。ただ、抑圧者が自分たちの利益のために暴圧し、それを大衆の目前に合理化さそうとするだけです。わたしら働く婦人は、階級的前衛に対する支配階級の死刑・重刑絶対反対です。絶対反対の叫びを職場に、サークルにひろくひろく響かせ、前衛即時釈放の要求をつきつけなければなりません。そして、支配階級の立場の弱さをかくす為にされようとする統一審理廃止に対しては、どこ迄も統一審理を継続させるよう闘わなければなりません。
〔一九三二年九・十月〕



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