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三つの愛のしるし
みっつのあいのしるし
作品ID4045
副題自由・平等・独立の火をともす
じゆう・びょうどう・どくりつのひをともす
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十七巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日
初出「アカハタ」日本共産党中央機関紙、1950(昭和25)年1月15日号
入力者柴田卓治
校正者磐余彦
公開 / 更新2003-12-30 / 2014-09-18
長さの目安約 5 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 二三日前にふった雪がまだとけずにまっしろく日にかがやいている。日本のあっちこっちの国々に、町々にやっぱりこんなふうに日にきらめいている冬の雪があるのだと思う。そしてそこにさまざまの形でいとなまれている昨日今日の生活とたたかいとを考える。
 毎年一月の十五日は三ツのLの日として記念されてきたけれども、今年はこの三ツのLという字が私の心に特別な深さとひびきとをともなってうかんでくる。ただレーニンとローザ・ルクセンブルグとカール・リープクネヒトとの頭字のLを三ツあわせた記念日としてだけ思えないところがある。
 二十世紀の人類生活の前進のため、このLという字を頭字にもった三人の人たちの生涯は、革命暦の上にあらまし印刷されている業績より、もっともっとふかい階級的な人間としての意味を語っている。
 モスクワのレーニン廟に革命後三十三年たった今日でも人の列がたえないということは何を語っているだろう。そして世界の人民のますます多数が、そのようにレーニンを愛しつづけているソヴェト人民の感情に一年一年とよりふかい共感を抱きはじめてきているのは何故だろう。これはレーニン廟が単なる記念のための廟ではないということをしめしている。ソヴェト人民は新らしい価値にめざめた自分たちの人生を思うにつれ、そのような人生をあらしめた指導者はレーニンであるということを思い出さずにはいられないのだと思う。いくたびもの五ヵ年計画を成就し、ファシズムとの闘いに勝利し、あのように全ソヴェト人が熱中して建設したドニエプル・ストロイさえも、敵の手から守るためには、そこを造った労働者自身の手で爆破したが、今日はそれを再びその人々の手によって建設しおおせた、その偉大な人民のエネルギーを覚醒させ、組織し、新らしい人類の歴史をつくってゆくための行動にゆるぎない方向をあたえたものはレーニンであった。その線を発展させた党に力をあわせて度かさなる艱難を正しく克服してくるにつれて、ますますソヴェト人民の心にはレーニンにたいする深いほこりと愛とがよびさまされているだろう。そして世界人民の間に民族の独立・自由・平和をもとめる民主勢力がますにつれて、あらゆる国々の人民が、この感動をわけもってきている。
 ベルリンの鋪道の上で憲兵大尉にうちころされ死体をすてられたカールとローザの墓は、ドイツの独立と自由とを愛す人々の手によってきずかれた。その墓はひとたびはヒトラーによって破壊された。けれども彼らの墓が形の上でどうなろうとも、ドイツの人民が三度めの戦争に挑発され、世界人民の生活破壊者とさせられることに抵抗して、人民的祖国ドイツの独立をねがっている人々の愛情のなかに、カールとローザの二つのLは、決してきえることなく生きている。
 これらの人々の生涯のいろいろな時期について多くの逸話がある。そのどれもヒトラーと正反対の性格にたっている。す…

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