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大衆闘争についてのノート
たいしゅうとうそうについてのノート
作品ID4211
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十八巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日
初出「多喜二と百合子 第三号」多喜二・百合子研究会、1954(昭和29)年4月
入力者柴田卓治
校正者磐余彦
公開 / 更新2004-05-09 / 2014-09-18
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 神奈川県足柄郡下足柄村十三部落[#この行はゴシック体]
  七月十三日夜
 小田原町の有力者が人をひくために小田原町会、足柄村会を動かし、足柄村のかんがいに一番大切な用水土地を掘る! そして、上水道に向けることにする。
 あたみへの直通道路京浜国道の延長のイギその軍事的性質

 飯田岡、蓮生寺、堀之内の青年幹部が主唱、部落会議。蓮生寺境内で富永消防組の小頭会議をひらき、シュー撃ときまり、警鐘を乱打し、ガソリンポンプと四台の手押ポンプを押し出し試掘事務所をめちゃめちゃにし、中山村長宅をおそった。
 三百数十名のケン挙。
 試掘中止の歎願書。ハネつける。村民は大衆行動にたち、先頭隊として大のこぎり隊、小のこぎり隊を編成、駐在所と警察の連絡電話を切り、試掘事務所に藁をつんで火をつけ、これを合図に「火事だ」警鐘を乱打し、村民は消防着で武装して大衆行動をソシキし、試掘不可能にした。これで三百余人とられ、野菜作物は四割だめ、麦納入不能。
 毎日、女連が押しかけて半数を奪還した。
 この直後ケン庁は調停にのり出し、カンガイポンプ二台でおさめようとしたがきかず、村会に圧力を加えて採決反対を決議さす。小田原では又やりはじめたので、試掘を中止させ、闘っている。
 ブル新は足柄村民と小田原町民との対立だとデマるが、小田原八千の失業者は農民を支持している。
 神奈川地区では、「米をよこせ、救済補助金を出せ! 種子をよこせ。排水ポンプをつけろ。救貧土木事業を起せ! 借金取立を待て。小作料、税金の免除、ギセイ者の即時釈放、家族の生活保証」のスローガンで、隣村との共同闘争、全農全会の拡大。漁民の組織化のために。
 革命的大衆団体は神奈川地方団協、全協地区委員会は湘南小地区のモップル、××組合、××××は協同して実況調査。第一回の訪問隊をソシキ。
 隣近六ヵ村の人々をといて共同闘争に立たせようとしている、農村ヤチェイカの確立の方向
 千葉茂原町の演習宿泊拒絶[#この行はゴシック体]
 演習中の野宿反対
 人家に迷惑をかけず宿やにとめろ
 宿舎のない演習なんかやめたがいいんだ。

○江東地区の一人、暗闇夜、自転車をとばして地区のデンタンを電車・乗合自動車のうしろに十数枚はりつけた。
○大衆闘争の中から大衆闘争の戦術を学べ。
○国鉄と麻布三連隊の兵士
 赤坂一レンタイと市電労働者の共同懇談会が持たれた。
○青年印刷工 六十九銭ぐらい。
 一人の仲間は、「活字中の漢字という漢字を知って居り」その人を先にたてて皆のあつまる会をつくり、会の金を出すためにその男はゴミ箱から緒の切れた板うらを出して来てはいた。会は雑誌とデッドボールと、バリカンとカミソリを買い要求に応じて全工場にグループをつくり、大衆的に組織して行った。
 十二月の忙しい最中。毎晩十一時、十二時まで。夜勤料は四割引、十時間で六時間分で…

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