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ブレーメンの町楽隊
ブレーメンのちょうがくたい
原題Die Bremer Stadtmusikanten
著者
翻訳者楠山 正雄
文字遣い新字新仮名
底本 「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」 小峰書店
1949(昭和24)年2月20日
入力者大久保ゆう
校正者浅原庸子
公開 / 更新2004-07-13 / 2014-09-18
長さの目安約 9 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 主人もちのろばがありました。もうなが年、こんきよく、おもたい袋をせなかにのせて、粉ひき所へかよっていました。さて、年をとって、だんだんからだがいうことをきかなくなり、さすがにこのうえ追いつかうのがむりだとわかると、主人は、ここらでろばのかいぶちをやめたものか、と考えだしました。ところで、ろばは、さっそくに、こりゃ、ろくなことではないとさとって、逃げだして、ブレーメンの町をめあてに、とことこ出かけました。そこへ行ったら、町の楽隊にやとってもらえようという胸算用でした。
 しばらくあるくうちに、往来に一ぴき、りょう犬が、だるそうにころがって、口ばかりあけて、はっは、はっは、あえいでいるのに出あいました。それはさんざん野山をかけあるいて、へとへとになっているというようすでした。
「おい、すたこら大将、なにをあっぷ、あっぷいっている。」と、ろばは声をかけました。
「いやはや、きいてくれ、こういうわけだ。」と、犬はいいました。「なにしろ年はとる、いくじがなくなる、おいらもむかしのげんきで猟場をかけあるくわけにはいかない。主人は、それならいっそ、たたき殺してしまえということになった。あわてて逃げだしたというわけだが、さて、この先どうしてパンにありつくか、じつはかんがえているところだよ。」
「ところで話だが、おいら、これからブレーメンの町へ出かけて、町の楽隊にやとってもらおうとおもうんだ、どうだ、おめえ、いっしょに行って、いちばん、音楽でめしをくう気はないか。おいらリュウトをひくから、おめえ、カンカラ太鼓をたたくがいい。」
 りょう犬は、うん、よかろうというので、いっしょに出かけました。
 それからあまり行かないうちに、ねこが一ぴき、往来にすわりこんだまま、それこそ三日も雨をくったような顔をしていました。
「やあ、どうしたい、床屋の親方、どうやらおひげの手入どころではないという顔つきだが。」と、ろばはいいました。
「いのちとかえがけというところだ。けいきのいい顔をしてもいられまい。なにしろ年をとって来てね、歯はばくばくになる、ねずみのやつをおいまわすよりか、ろばたで香箱つくって、ごろにゃん、ごろにゃん、のどをならしていたくなるさ。そこで、主人のかみさんが、いっそ水にはめておしまいよといいだした。そうされないうちに、とびだしては来たが、さていい思案はないしさ、いったいどこへどう行ったものかと、あぐねているのだよ。」と、ねこはいいました。
「おれたちとなかまで、ブレーメンの町へ行けよ。おまえさんは、夜の音楽ならお手のものだろう、町の楽隊につかってもらえるぜ。」と、ろばはいいました。
 ねこは、さっそくさんせいして、いっしょに出かけました。
 やがて、三人組の脱走者は、とある屋敷内に来かかりました。門の上に、その家のおんどりがのっていて、ありったけの声をふりしぼって、さけび立…

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