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日本天変地異記
にほんてんぺんちいき
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「貢太郎見聞録」 中公文庫、中央公論社
1982(昭和57)年6月10日
入力者鈴木厚司
校正者多羅尾伴内
公開 / 更新2003-09-01 / 2014-09-17
長さの目安約 26 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

     序記 国土成生の伝説

 大正十二年九月一日の大地震及び地震のために発したる大火災に遭遇して、吾吾日本人は世界の地震帯に縁取られ、その上火山系の上に眠っているわが国土の危険に想到して、今さらながら闇黒な未来に恐怖しているが、しかし考えてみれば、吾吾は小学校へ入った時から、わが国土が地震と火山とに終始していて、吾吾国民の上には遁れることのできない宿命的な危険が口を開いて待っているということを教えられていたように思われる。それは日本歴史の初歩として学ぶ国作りの伝説である。
 国作りの伝説は、「古事記」や「日本書紀」によって伝えられたもので、荒唐無稽な神話のように思われるが、わが国土が地震帯に縁取られ火山脈の上にいるということから考え合わすと、決して仮作的な伝説でないということが判る。「日本書紀」には、「伊弉諾尊、伊弉冉尊、天の浮橋の上に立たして、共に計りて、底つ下に国や無からんとのり給ひて、廼ち天の瓊矛を指しおろして、滄海を探ぐりしかば是に獲き。その矛の鋒より滴る潮凝りて一つの島と成れり。[#挿絵]馭盧島と曰ふ。二神是に彼の島に降居まして、夫婦して洲国を産まんとす。便ち[#挿絵]馭盧島をもて国の中の柱として、(略)産みます時になりて、先づ淡路洲を胞となす。(略)廼ち大日本豊秋津洲を生む。次に伊予の二名洲を生む。次に筑紫洲を生む。次に億岐洲と佐渡洲を双子に生む。(略)次に越洲を生む。次に大洲を生む。次に吉備子洲を生む。是に由りて大八洲国と曰ふ名は起れり。即ち対馬島、壱岐島及び処処の小島は皆潮沫の凝りて成れるなり。亦水沫の凝りて成れりと曰ふ。次に海を生む。次に川を生む。次に山を生む。次に木祖句句廼馳を生む。次に草祖葺野姫を生む」としてあって、歴史家はこれを日本民族が日本島国発見の擬人化神話としているが、私はそれを地震と火山の活動による土地の隆起成生とするのである。
 今回の地震には、房総半島の南部から三浦半島、湘南沿岸、鎌倉から馬入川の間、伊豆の東部などは、土地が二尺乃至三四尺も隆起したということであるが、それはアメリカの西海岸からアラスカ群島、千島群島をかすめて、表日本の海岸に沿うて走っている世界最大の地球の亀裂線、専門家のいわゆる外測[#「外測」はママ]地震帯の陥没から起ったもので、元禄十六年の地震は、その地震帯の活動の結果であると言われている。要するにわが国は、こういうふうに外側地震帯及び日本海を走っている内側地震帯の幹線に地方的な小地震帯がたくさんの支線を結びつけているうえに、火山脈が網の目のようになっているから、その爆発に因る地震も非常に多く、従って土地の隆起陥没もまた多い。天武天皇の時大地震があって、一夜にして近江の地が陥没して琵琶湖が出来ると共に、駿河に富士山が湧出したという伝説も、その間の消息を語るものである。安永八年の桜島の爆裂には、その…

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