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青ひげ
あおひげ
原題LA BARBE BLEUE
著者
翻訳者楠山 正雄
文字遣い新字新仮名
底本 「世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの」 小峰書店
1950(昭和25)年5月1日
入力者大久保ゆう
校正者秋鹿
公開 / 更新2006-03-10 / 2014-09-18
長さの目安約 13 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

         一

 むかしむかし、町といなかに、大きなやしきをかまえて、金の盆と銀のお皿をもって、きれいなお飾りとぬいはくのある、いす、つくえと、それに、総金ぬりの馬車までももっている男がありました。こんなしあわせな身分でしたけれど、ただひとつ、運のわるいことは、おそろしい青ひげをはやしていることで、それはどこのおくさんでも、むすめさんでも、この男の顔を見て、あっといって、逃げ出さないものはありませんでした。
 さて、この男のやしき近くに、身分のいい奥さんがあって、ふたり、美しいむすめさんをもっていました。この男は、このむすめさんのうちどちらでもいいから、ひとり、およめさんにもらいたいといって、たびたび、この奥さんをせめました。けれど、ふたりがふたりとも、むすめたちは、この男を、それはそれはきらっていて、逃げまわってばかりいました。なにしろ青ひげをはやした男なんか、考えただけでも、ぞっとするくらいですし、それに、胸のわるいほどいやなことには、この男は、まえからも、いく人か奥さまをもっていて、しかもそれがひとりのこらず、どこへどう行ってしまったか、ゆくえが分からなくなっていることでした。
 そこで、青ひげは、これは、このむすめさん親子のごきげんをとって、じぶんがすきになるようにしむけることが、なによりちか道だと考えました。そこで、あるとき、親子と、そのほか近所で知りあいの若い人たちをおおぜい、いなかのやしきにまねいて、一週間あまりもとめて、ありったけのもてなしぶりをみせました。
 それは、まい日、まい日、野あそびに出る、狩に行く、釣をする、ダンスの会だの、夜会だの、お茶の会だのと、目のまわるようなせわしさでした。夜になっても、たれもねどこにはいろうとするものもありません。宵がすぎても、夜中がすぎても、みんなそこでもここでも、おしゃべりをして、わらいさざめいて、ふざけっこしたり、歌をうたいあったり、それはそれは、にぎやかなことでした。とうとうこんなことで、なにもかも、とんとんびょうしにうまくはこんで、すえの妹のほうがまず、このやしきの主人のひげを、もうそんなに青くは思わないようになり、おまけに、りっぱな、礼儀ただしい紳士だとまでおもうようになりました。
 さて、うちへかえるとまもなく、ご婚礼の式がすみました。

 それから、ひと月ばかりたったのちのことでした。
 青ひげは、ある日、奥がたにむかって、これから、あるたいせつな用むきで、どうしても六週間、いなかへ旅をしてこなければならない。そのかわり、るすのあいだの気ばらしに、お友だちや知りあいの人たちを、やしきに呼んで、里の家にいたじぶんとおなじように、おもしろおかしく遊んで、くらしてもかまわないから、といいました。
「さて、」と、そのあとで、青ひげは奥がたにいいました。「これはふたつとも、わたしのいちばん大…

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