えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


広告

眠る森のお姫さま
ねむるもりのおひめさま
原題LA BELLE AU BOIS DORMANT
著者
翻訳者楠山 正雄
文字遣い新字新仮名
底本 「世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの」 小峰書店
1950(昭和25)年5月1日
入力者大久保ゆう
校正者秋鹿
公開 / 更新2006-03-10 / 2014-09-18
長さの目安約 17 ページ(500字/頁で計算)
えあ草紙で読む
HTMLページで読む

広告

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

find Audible YouTube

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

楽天Koboで表紙を検索

広告

本文より

         一

 むかしむかし、王様とお妃がありました。おふたりは、こどものないことを、なにより悲しがっておいでになりました。それは、どんなに悲しがっていたでしょうか、とても口ではいいつくせないほどでした。そのために、世界じゅうの海という海を渡って、神様を願をかけるやら、お寺に巡礼をするやらで、いろいろに信心をささげてみましたが、みんな、それはむだでした。
 でもそのうち、とうとう信心のまことがとどいて、お妃に、ひいさまの赤ちゃんが生まれました。それでさっそく、さかんな洗礼の式をあげることになって、お姫さまの名づけ親になる教母には、国じゅうの妖女が、のこらず呼び出されました。その数は、みんなで七人でした。そのじぶんの妖女なかまのならわしにしたがい、七人の妖女は、めいめい、ひとつずつ、りっぱなおくりものを持って来るはずでした。ですから、生まれたときから、お姫さまには、もうこの世でのぞめるかぎりのことで、なにひとつ身にそなわらないものはなかったのでございます。
 さて洗礼式がすんだあと、呼ばれた七人のなかま一同が、王様のお城にかえりますと、そこには、妖女たちのために、りっぱなごちそうのしたくが、できていました。ひとりひとりの食卓の上には、お皿や杯の食器がひとそろいならべてあって、それは、大きな金の箱にはいっている、さじだの、ナイフだの、フォークだので、こののこらずが、ダイヤモンドとルビーをちりばめた、純金製のものでした。
 ところで、みんなならんで食卓についたとき、ふと見ると、いつどこからやって来たか、たいへん年をとった妖女がひとり、のそのそと広間にはいって来ました。けれどこの妖女は、この席に呼ばれてはいなかったのです。
 というわけは、このおばあさんの妖女は、今から五十年もまえ、ある塔の中にこもったなり、すがたをかくしてしまって、もういまでは、死んでしまっているか、魔法にでもかけられて、なにかかわったものにされてしまった、とおもわれていたからです。
 王様はあわてて、この妖女の前にも、ひとそろい食器を並べさせました。でも、それはもう、大きな金の箱に入れた純金製のものではありませんでした。なにしろお客は七人のはずでしたから、七人まえのしたくしか、できてはいなかったのです。するとおばあさんの妖女は、じぶんだけが、けいべつされたようにおもって、口の中で、なにかぶつぶつ、口こごとをいっていました。
 そのとき、ほかの若い妖女のひとりが、そばにとなりあわせていて、おばあさんのくどくどいうことばを、そっと聞いていました。それで、このおばあさんが、王女になにかよくないおくりものをしようと、たくらんでいることがわかりましたから、食事がすんで、みんなが食卓から立ちあがると、そのまま、その妖女は、とばりのかげにかくれていました。それは、こうしてかくれていて、そのおばあさん…

えあ草紙で読む

ライフメディアへ登録

Koboユーザー必見!
楽天スーパーポイントとは別に
価格の5%がポイントに!

find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2016 Sato Kazuhiko