えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索

「街はふるさと」作者の言葉
「まちはふるさと」さくしゃのことば
作品ID43191
著者坂口 安吾
文字遣い新字新仮名
底本 「坂口安吾全集 09」 筑摩書房
1998(平成10)年10月20日
初出「読売新聞 第二六三五六号」1950(昭和25)年5月8日
入力者tatsuki
校正者花田泰治郎
公開 / 更新2006-04-23 / 2014-09-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より




 さわやかで、明るい、静かな物語をかこう。
 この物語の中の人たちは、金と女、愛と憎しみ、罪や汚れに困りぬいている。泥沼へおちてぬけでられない男もいるし、死に場所をさがす女もいる。誰か死ぬかも知れない。みんなの負うている宿命は暗いが、それは人間全部のものだろう。
 街にはザワザワと無数の跫音がむれている。泥棒の跫音も、パンパンの跫音も。しかし、人間のふるさとは人間の中にしかないと分れば、生きることほど、なつかしいものはないだろう。
 地獄の門をくぐりぬけて青空の下へでることもできる。ふるさとは、どこにでもあるのだ。どこも、かしこも、さわやかで、明るくて、静かなはずである。



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko