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踊る地平線
おどるちへいせん
作品ID4372
副題08 しっぷ・あほうい!
08 しっぷ・あほうい!
著者谷 譲次
文字遣い新字新仮名
底本 「踊る地平線(下)」 岩波文庫、岩波書店
1999(平成11)年11月16日
入力者tatsuki
校正者米田進
公開 / 更新2003-01-16 / 2014-09-17
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




     1

 葡萄牙のリスボンで、僕はリンピイ・リンプと呼ぶびっこの英吉利人と仲よしになった。
 リンピイは海から来た男で、そしてPIMPだった――あとで解る――それはいいが、ついうっかりしてるうちに僕も捲き込まれて、その跛足リンプの助手みたいな仕事をしなければならないことになった。これも詳しくは「後章参照」だが、早く言えば、毎晩僕が夜の埠頭へ出かけて古いINKの海を眺めてるあいだに、いつからともなくこのリンピイと知り合いになったというだけなのだ。
 ほるつがる――種が島と煙草と社交病を日本へ紹介した国。
 日本――葡萄牙。
 東の果てと西のはずれ。
 地理的には遠く、歴史的には近い。
 両国共通の言語でちょっとこんな判じ物みたいな小景が出来るくらいだ。
 彼は Raxa の「まんと」の「ぼたん」をかけていた。彼女は「石鹸」で洗ったばかりの「かなきん」の襦袢「Jib[#挿絵]o」に、「びろうど」Veludo の着物をきていた。「びょうぶ」の前に、ふたりは「さらさ」Caraca の座ぶとんを敷いて、Carta「歌留多」をしながら飲んだり食べたりしていた。が、彼はあんまり「ふらすこ」のお酒を「こっぷ」で呑んだし、彼女が Pao「ぱん」と「こんぺいとう」を Tanto「たんと」食べ過ぎるので、お互いに嫌になって離婚した。
FINIS

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