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仮面座の宣言
かめんざのせんげん
作品ID44368
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集20」 岩波書店
1990(平成2)年3月8日
初出「都新聞」1926(大正15)年3月26日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-10-15 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 仮面座創設について、同座創立同人諸君がわれわれに提示された宣言の内容は、可なり注目に値すべきものである。
 僕は、今、その各項目について、無条件に賛意を表するものではない。まして、あの抽象的な文字の羅列にそれほどおどかされてゐるものではない。たゞ、最も好意ある解釈に従へば、此の一座の同人諸君は、「芝居といふものを面白く見せよう」としてゐるらしい。これはたしかに有意義な企てである。
 明るい傾向の戯曲を撰ぶといふやうなことは、わざわざ吹聴する必要はあるまい。それよりも、戯曲の聡明な解釈によつて「不必要な暗さ」を一掃することに努めようではないか。
 定期公演と随時の試演は結構であるが、それは、先づ、相当の俳優を作り上げた上にして欲しい。在来の劇団が殆ど顧みなかつた此の一点に、諸君が力を注ぐか注がないかは、諸君が、「今迄のもの」より以上に出るか出ないかの問題である。
 レパアトリイを定めるのは「諸君の劇場をより効果あらしめる為め」であるといふ意味は僕にはよくわからない。想像を許して貰へるなら、恐らく諸君の努力をより有効に、諸君の理想をより明確にするといふ意味であらうと思ふ。諸君は、レパアトリイの公表によつて、先づ諸君の「施政方針」を示すべきである。
 僕自身について云へば、毎月一口五円の会費を納めることは、やゝ重い負担であるから、もう少し、此の劇団の「信用程度」を調査してから、後援会入会の手続を履まうと考へてゐる。



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