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「文壇波動調」欄記事
「ぶんだんはどうちょう」らんきじ
作品ID44393
副題06 (その六)
06 (そのろく)
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集20」 岩波書店
1990(平成2)年3月8日
初出「文芸時代 第三巻第十一号」1926(大正15)年11月1日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-10-27 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 新劇協会が、今後経済的支持者を得て、更生の第一歩を踏み出さうとする機会に、その新しい関係者の一人として、私は、世の新劇研究家並に愛好者に訴へる――われわれの仕事を理解し、援助して頂きたい。
          ×
 先づ、新劇協会の舞台は、「限られた」われわれ数人の野心を満たし、技倆を誇示する為めに作られようとするものではない。
 此の舞台は、現代日本の、あらゆる意味に於ける新劇運動者によつて、最も有効に利用されることを望んでゐる。
          ×
 上場脚本について云へば、それが如何なる「傾向」である為めに、如何なる「色調」であるが為めに排斥することはしない。そして、そこでは、総ての真摯な演劇論が平等に座席を与へられる。
          ×
 俳優は、現在、不統一であることを免れない。近い将来に於て、その統一が期せられる筈である。何よりも、舞台指揮者が、稽古の数日間、兼俳優教師たることを繰り返す弊風を一掃したい。
 それから、新劇俳優の名に応はしき才能と教養とを発見するに至るであらう。
          ×
 自作を活字にする機会をさへ与へられない無名の劇作家が、此の舞台を唯一の発表機関として、初めて傑作を世に示すことができたら、どんなに愉快だらう。
          ×
 新劇の現状に失望して、当今、俳優たることを断念し、又は躊躇してゐる有為な青年男女が、此の舞台によつて、徐々にその天分を発揮し、輝やかしい未来に到達することができたら、どんなに幸せだらう。(岸田)



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