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「我家の平和」を演出して
「わがやのへいわ」をえんしゅつして
作品ID44414
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集20」 岩波書店
1990(平成2)年3月8日
初出「演劇新潮 第二巻第七号」1927(昭和2)年7月1日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2006-04-03 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




「我家の平和」は、フランスでも一度見たことがありますが、その印象は頗る薄いものでした。ですから、最初は向ふで見たまま紹介しようと思ひましたが、見た時の印象が非常に薄いから、コツピイをするにしても誠に心元ない。それに向ふのものそのまゝのコツピイが、果して我々の俳優の演技にうまく合ふかどうかも疑問でしたから、コツピイは全然よすことにしました。さうして、私自身の思ふまゝに新しい演技を組立てた訳です。
 最初は、俳優に試験的にやらしてみましたが、演つてゐるうちに色々と私の註文も出て来る。そして、その註文も或る所までは果されて行くことが分りましたから、この分で行けば、私自身がもう少し勤勉になつて、色々註文が出せたなら、可成りな所まで、演出の効果を挙げて行くことが出来るとおもひました。
 相憎、途中で病気に掛つたりして、稽古はほんの二三度しか見ることが出来ませんでしたが、もう少し丁寧に見ることが出来たなら、もつともつと良くなる望みがあると思ひます。
 兎も角も、今度の演出によつて、われわれは、われわれの俳優の演技といふものに対して、嘗て考へてゐたよりは広い希望を持つことが出来ました。これは非常に喜ばしいことだとおもひます。



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