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暫く黙せしめよ
しばらくもくせしめよ
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集23」 岩波書店
1990(平成2)年12月7日
初出「劇作 第五巻第四号」1936(昭和11)年4月1日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-03-31 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 芝居のことについて、今、何も云ふ気にならぬ。根のひからびた樹木がある。枝をためて何にならう。
 優れた戯曲がぼつぼつ眼にふれる。楽しいが、淋しい。時代は進みつゝあるに違ひない。来るべきものが来るまで私はもう待てない。

 人が何かをしはじめようとすると、そんなことをして何になると云ふものがある。誰もなんにもしないでゐることは、誰もを不安にしないだけである。

 私は、自分の力を過信しないやうに努めてゐる。それでも、したいと思ふことをしないではゐられない。

 私は、芸術上のアンデパンダンを尊重するが、尊重するが故に、日本演劇の現代アカデミスムの樹立を要望するものである。この文化の過渡的矛盾を認識しないならば、新劇運動は永遠に貧困を脱し得ないであらう。

 権力と財力との微笑を警戒する人々よ、一度、その微笑なるものを見届けようではないか。

 アカデミスムとコンマアシヤリズムとの交叉点は、幸にして悪臭鼻をつくものがある。芸術家にとつて、真の芸術家にとつて、交通整理の必要は更にないのである。

 国立劇場の建設も結構であるが、私は、先づ官立俳優学校の設立を提唱する。目下計画中の演劇研究所プランを拡大して、その実現に邁進する覚悟である。



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