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中村伸郎
なかむらのぶお
副題――文学座のアルバム――
――ぶんがくざのアルバム――
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集28」 岩波書店
1992(平成4)年6月17日
初出「文学座三月公演・キティ颱風 パンフレット」1950(昭和25)年3月3日
入力者門田裕志
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2010-11-06 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


 近代俳優の特色が、いはゆる限られた役柄をもたぬところにあるとすれば、中村伸郎はまさに、さういふ俳優の一人である。繊細かと思ふと案外図太く、飄々乎としてゐる半面になかなか手堅いところもある。純然たる芸術家の苦悩と、無為徒食の部屋住みの応揚さと、十年勤続のオフイスマンの律義さとを同時に、その風貌のうちにひそませてゐる。彼の俳優としての持ち味は、時として「役」に殺される。しかし、多くの場合、彼の演技は、そのスタイルの陰翳によつて、人物を滋味豊かなものとする。彼の「当り芸」をひとつひとつ挙げてみればわかる。「おふくろ」の英一郎、「マリウス」のパニス、「歳月」の紳一、等々。



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