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「時・処・人」まへがき
「とき・ところ・ひと」まえがき
作品ID44874
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集28」 岩波書店
1992(平成4)年6月17日
初出「時・処・人」人文書院、1936(昭和11)年11月15日
入力者門田裕志
校正者noriko saito
公開 / 更新2011-04-10 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 これは随筆集といふよりも、寧ろ雑文集である。私はこの十年間、ほとんど随筆的心境といへるやうな心境を味つたことはなかつた。もとより文人墨客趣味などはないところへもつて来て、時代が時代と来てゐるので、周囲を見る眼が絶えず血走りがちである。たまたま随筆風な題を与へられても、すぐに、それにからんで日頃の鬱憤を晴らさうといふ気になる。誠にわれながら大人げない次第だと思ふ。
 いくぶん調子を和らげるために、一度前の選集に入れたものを少し加へてみたが、それでも、全体を纏めて読み返してみると、一種十八世紀的臭味が鼻をつくのである。これはどうもしかたがない。せめてそこを面白いとしてくれるものが今の世の中にあれば、それだけで私は本望なのである。
  一九三六年十月
著者



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