えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索

今後の寺院生活に対する私考
こんごのじいんせいかつにたいするしこう
作品ID44917
著者坂口 安吾
文字遣い新字新仮名
底本 「堕落論」 新潮社
2000(平成12)年6月1日
初出「涅槃」1927(昭和2)年3月
入力者うてな
校正者noriko saito
公開 / 更新2006-08-19 / 2014-09-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より




 寺院に特殊な生活があるとすれば禁欲生活より外にはないと思われます。しかし一般人間に即した生活即ち情欲や物欲に即した生活のあることを忘れる訳には行きません。寺院の人々は禁欲生活を過重し勝ちでとかく所謂煩悩に即した生活の中にも道徳律や悟脱の力のあることを忘れている様です。禁欲生活が道徳的に勝れている理由もなく、又特に早く悟れる理由もありません。生活はその人の信条で生きるもので要するに何でもかまいませんが、愛欲の絆もあきらめられない。禁欲生活の外分も保ちたいなんてのは、随分あさまし過ぎると思われます。むしろ一般の欲に即した生活を土台にして出直すのが本統ではありますまいか。



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko