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お鍋とお皿とカーテン
おなべとおさらとカーテン
作品ID44990
著者村山 籌子
文字遣い新字旧仮名
底本 「日本児童文学大系 第二六巻」 ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日
初出「コドモノクニ」東京社、1937(昭和12)年7月
入力者菅野朋子
校正者noriko saito
公開 / 更新2011-08-22 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 これは せんせいが 一年生に してくださつた おはなしです。

 あるおうちの お台所に お鍋とお皿とカーテンが くらしてゐました。
 ところが おなべも お皿も カーテンも 毎日 おなじおしごとを してゐるのが、いやになつて、お台所から にげだすことに しました。
 お鍋と お皿は さきにでぐちの ところへ いきましたが、まつても まつても カーテンが きません。
「はやくこないと 二人で行つてしまふわよ。」お鍋と お皿は いらいらして いひました。
「だつて、わたし、いくら あし で ふんばつても、あたまが てつのぼうに くつついてゐて、はなれないのよ。」とカーテンはなきながら、あたまをてつのぼうから、はづさうとしました。お鍋とお皿も、カーテンの すそをもつて、うんさこら うんさこら とひつぱりましたが、だめです。
 そこで、お鍋とお皿の、どつちかが カーテンをよぢのぼつていつて、てつのぼうを はずすことに なりました。
 お鍋と お皿が じやんけんをして、まけたはうが のぼつてゆくことに しました。
 お鍋が まけました。お皿は下で 大きな口をあけて、けんぶつして ゐました。
 まけたお鍋は カーテンの わきばらを よぢのぼりました。
 ところが お鍋が よぢのぼるにつれて、カーテンはよこはらが くすぐつたく なりました。そして とう/\ がまんが できなくなつて、
「あゝ、くすぐつたい。」といつて、お鍋を いきなり ふりとばしました。
 お鍋は からんころん、からんころん、ころ/\、ころ/\と、台所の むかふの はしまで、ころがつて行きました。その かつかう が、とてもおかしかつたので、カーテンは 「アハハハハハ」と 大わらひしました。
 お皿は わたしだつたら、こな/″\ に こはれるところだつたのに、「まあよかつた。」と むねを なでおろしました。
 お鍋は もと/\ たいへんな はづかしがりやさんでしたから、カーテン に わらはれたので、かほを まつかにして、とだなの 中へ かけこんだきり、いくら、カーテンと お皿が、よんでも でてきません。
 こんなわけで、お鍋とお皿を カーテンは にげださないで、いまでも お台所で、やくにたつてゐます。もし にげだしてゐたら、くづやさんに ひろはれて、かなしい みのうへに なつてゐたでせう。



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