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桃花源記序
とうかげんきじょ
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「讀書籑餘」 みすず書房
1980(昭和55)年6月30日
初出「東光 5号(狩野直喜先生永逝記念)」弘文堂、1948(昭和23)年8月
入力者はまなかひとし
校正者土屋隆
公開 / 更新2006-02-16 / 2014-09-18
長さの目安約 6 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

桃花源記并序
桃花源の記ならびにはしがき、
晉太元中(1)。武陵人。捕魚爲業。縁溪行。忘途之遠近。忽逢(2)桃花林。夾岸數百歩。中無雜樹。芳草鮮美。落英繽紛。
晉の代、太元の頃かとよ、武陵の魚を捕ふる業なすをのこ、谷川にそひ、(舟にて上りしが)路の遠近を辨まへず、上りける程にふと見れば、桃花の林あり、兩岸を夾さみたる數百歩の中には、ひとつの雜木だになく、(其(3)下には)、かうばしき草うるはしく茂りあひ、風に吹かれ花びらのひらひらと「散るさま得も言はれぬ景色なり」
漁人甚異。復前行。欲窮其林。林(4)盡水源。便得一山。有小口。髣髴若有光。便捨舟。從口入。初極狹。纔通人。
をのこいとあやしみ、林のきはみまでと、猶上り行きしに、林の盡くる所、即ち水源なり。ふと見れば(向)に山ありて、其入り口と覺しき穴あり。かすかに日の光あると見ゆ、乃ち船をば捨てつ、口より入り見るに、初めのほどは、きはめてせばく、僅かに、人ひとりを、かよはすほどなるに。
復行數十歩。割(5)然開朗。土地平曠。屋舍儼然。有良田美池桑竹之屬。阡陌相連。[#挿絵]犬相聞。
また數十歩ばかり行きけるが、胸すくばかりにひろ/″\と打開らきたる處へ出でつ、見ればいかめしき家居の傍に、良田(よきた)美池(うるはしきいけ)桑竹のたぐひあり、東西南北に人のゆきかふ小路正しく連らなりて、[#挿絵]犬の此處彼處になく聲もいとのどかなり、
其中往來種作。男女衣着悉如外人。黄髮垂髫。並怡(6)然自樂。
其中を往來しつゝたがやす男女の身にまとふ衣を見るに、世のものと異なりて、外國人かと怪しまる計り也。又黄色の髮なす老人、もとどりたれたる小兒まで、打まじり、おのがじしたのしむさま、またなく心やすらげに見ゆ、
見漁人乃大驚。問所從來。具答之。便(7)要還家。設酒殺[#挿絵]作食。村中聞有此人。咸來問訊。
漁人を見つゝいたく打驚き、いづかたより來り給ひしと問ふに、くはしく答へたりしかば、いざ我家へとて、いなむをうながし、つれ還へり、酒をまうけ、にはとりを殺し、ねんごろに、ふるまひなすうちに、村のものども、まれびとありと聞きつ、みなこの家へ尋ね來りぬ、
自(8)云。先世避秦時亂。率妻子邑人。來此絶境。不復出焉。遂與外人間隔。問今是何世。乃不知有漢。無論魏晉。此人一一爲具言所聞。皆歎[#挿絵]。
あるじ申すやう。それがしの先祖にあたるもの秦時の亂をさけ、妻子及び在所の人をひきつれ、この奧まりたる境へ來しより、再び世に出でざりしかば、遂には外人と相隔たりぬ、そも今は何の世にさむらふぞやといふ、そのさま漢代だにしらず、魏晉は言ふまでもなし、をのかかねて聞けること一一つぶさに語り聞かしゝかば、皆古をしのぶこと限りなし、
餘人各復延至其家。皆出酒食。停數日。辭去。
かくて村のものどもまた各をのこを家へ請じ、酒食を供へてもてなしければ、覺えず…

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