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異性に対する感覚を洗練せよ
いせいにたいするかんかくをせんれんせよ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「愛よ、愛」 パサージュ叢書、メタローグ
1999(平成11)年5月8日
初出「都新聞」1935(昭和10)年11月17日
入力者門田裕志
校正者土屋隆
公開 / 更新2004-04-26 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 現代の女性の感覚は色調とか形式美とか音とかに就いて著るしく発達して来た。全ゆる新流行に対して、その深い原理性を丹念に研究しなくとも直截に感覚からして其の適応性優秀性を意識出来る敏感さを目立って発達させて来た。これは新発明とか、創造とかには或いは適さぬ性質かも知れない。何故と言えば、余り深く一処、一物に執着して研鑽を積むという性質ではないからである。しかし、流行の吸収に最も適した性質であり、巧に模倣を容易ならしめる特質である。
 斯くして現代の一般女性たちは、内外特殊の研究家の創造発表するものを容易に採り上げて自由に利用するであろう。それだけでも昔の日本女性より、ずっと進歩していると言える。物の判断に於ても感覚を広く鋭くする事によって充分に正確に処断する事が出来るものであり、また実際現代の女性たちは意識無意識に拘らず、彼女等の感覚によって大過なく日常を処置しているようである。
 従って彼女等をしてその特長の新感覚に広く磨きをかけさせたく思う。色調、形式美、音等に対する感覚ばかりでなく対人的、殊に異性に対する感覚をもっと洗練させ度い。
 この点、まだ現代の女性はイージーでセンチで安価な妥協をして了うのが多い。異性に対し、もっと高貴で確な潔癖を持って貰い度い。潔癖のない女ほど下等で堕落し易いものはない。潔癖を持つ事は時に孤独な淋しさが身を噛む事もあるが、恆に、もののイージーな部分にまみれないではっきりとして客観的にものを観察出来て、結局ロング・ランには正当に自己を処理させるに違いない。私は現代女性の処世法を、感覚の洗練から講じようとする態度が最も現代的だと信じている。



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