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人口論
じんこうろん
副題02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
02 だいにへん きんだいヨーロッパしょこくにおけるじんこうにたいするさまたげについて
原題AN ESSAY ON THE PRINCIPLE OF POPULATION
著者
翻訳者吉田 秀夫
文字遣い新字新仮名
底本 「各版對照 マルサス 人口論2」 春秋社
1949(昭和24)年1月10日
入力者京都大学電子テクスト研究会入力班
校正者京都大学電子テクスト研究会校正班
公開 / 更新2008-12-01 / 2014-09-21
長さの目安約 406 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

    第一章 ノルウェイにおける人口に対する妨げについて

 現代ヨオロッパ諸国を概観するに当って、吾々の研究の助けとなるものは、出生、死亡、及び結婚の記録簿であるが、それは完全で正確ならば、一般に行われている人口に対する妨げが積極的妨げであるか予防的妨げであるかを、ある程度正確に、吾々に指示するものである。たいていのヨオロッパ諸国民の習慣は、もちろん、彼らの境遇が近似しているために、おおむね似ており、従って彼らの右の記録簿も時に同一の結果を示すものと期待してよい。しかしながら、この時折りの一致に余りに頼りすぎたために、政治算数家は、概言して、あらゆる国には不変的死亡秩序がある、と想像するの誤謬に、陥ったのである。しかし事実はこれと反対に、この秩序にはありとあらゆる差別があるのであり、すなわち同一国内でも場所を異にすれば大いに異り、またある限度内では、人間の力で変化せしめ得る事情に依存するものなることが、わかるのである。
 ノルウェイは、前世紀のほとんど全期に亙って、不思議に戦争による人口の減少を免れた。気候は驚くべきほどに伝染病を受けつけず、そして平年には、死亡率は、記録簿が正確だと認められるヨオロッパの他のいかなる国よりも、小である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。全国を通じて平均すれば、全人口に対する年死亡の比率は、わずかに四八対一に過ぎない2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。それにもかかわらず、ノルウェイの人口は、決して著しく急速には増加していないように思われる。それは、最近十年ないし十五年間、増加し始めている。しかし、それまではその増加は極めて緩慢であったに違いない、けだしこの国が開けたのは極めて早いことであり、しかも一七六九年にその人口はわずか七二三、一四一なのであるから3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
 1) ロシアの記録簿はもっと低い死亡率を示しているが、しかしそれには欠陥があると思われている。しかしながら英蘭及びウェイルズでは、一八二〇年をもって終る十年間には、死亡率はノルウェイよりも更に低かった。(訳註――『しかしながら』以下は第六版のみに現わる。)
 2) Thaarup's Statistik der D[#挿絵]nischen Monarchie, vol. ii. p. 4.
 3) Id. table ii. p. 5.
 その国内経済に関する検討に立入るに先立って、吾々は、この国の人口に対する積極的妨げは極めて小であったのであるから、予防的妨げはそれに比例して大であったに違いない、と信ぜざるを得ず、従って吾々は記録簿から、全人口に対する年結婚の比率が、一三〇対一であり1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、これはスイスを除くいかなる国の記録簿に現われているものよりも小なる結婚比率であることを、見出すのである…

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