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良人教育十四種
おっときょういくじゅうよんしゅ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「愛よ、愛」 パサージュ叢書、メタローグ
1999(平成11)年5月8日
初出「婦人界」1933(昭和8)年9月号
入力者門田裕志
校正者土屋隆
公開 / 更新2004-04-26 / 2014-09-18
長さの目安約 6 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

(1)[#「(1)」は縦中横] 気むずかしい夫
 何が気に入らないのか、黙りこくってむっつりしている。訊いてもいっては呉れないで、渋い顔をするばかり。従って家内中で腫ものにでも触るような態度を取り、そばを歩くに、足音さえも窃むようになる。こういう性質は神経衰弱その他生理的な病気が伏在している為めに来ることもあれば、当人の我儘から来ることもある。病気なれば気の毒、早速医者の手にかかるがいいが、もし我儘だったらあんまり卑屈にへいへいしていると、却って増長させていけない。正しいことは相当主張し、快闊に、はたからその不機嫌を吹き散らしてしまうがいい。不機嫌は当人も持てあましているのだから、はたからのひょっとした誘いで気が取直せ、当人も助かることがある。

(2)[#「(2)」は縦中横] 短気な夫
 しじゅうイライラしてちょっとのことにカンシャクを起す。この性質に二つある。外では猫のようにおとなしく言うべきことも胸に畳み、そのシコリを家へ持越して爆発させるものと、もう一つはどこでも短気でカンシャクを起すのとである。前の方のは臆病で気の毒な性質の人ゆえ、まあまあ我慢して家でカンシャクを起さしてやるのが愛だが、後のは持前の性質ゆえ修養とか信仰とかを勧めて、根本的に直すのが愛である。一たい短気な人は速力が気に入るのだから何でも手っ取り早く先手を打って、先に望むことをしてやれば悦ぶものだ。

(3)[#「(3)」は縦中横] 病身な夫
 痼疾のあるのは別だが、そうでなくて年中あっちが悪い、こっちが悪いとぐずぐずしている人がある。多くは神経質で思い過しの人に多い。一しょになって心配してやらねば不親切だといってヒガむし、そうかといって心配すればキリが無いし、仕末に悪い。心機一転ということもあるから、朗かに奮闘的な気持ちになれるよう、思い切って生活を革新するとか、強い刺撃を与えて心境を変化させるとか、妻自身確信と元気を持って助勢するがいい。

(4)[#「(4)」は縦中横] 潔癖な夫
 硝子窓がちょっと曇っていても気にし、障子のサンにホコリが溜ってやしないかと、指の腹で擦ってみる。ひどいのになると一日に五六度オキシフルか、昇汞水で手を消毒しないと、落付いて仕事が出来ぬというようなのがある。悪いことではないが兎に角うるさい。また精神上の潔癖家として無暗に人を毛嫌いするものもある。あいつはオベッカ者だからとかあいつはウソ吐きだとかいって、口も利かぬ。そんなことをいった日には世間が狭くなるばかりだから一つ気を大きく持たせるべし。

(5)[#「(5)」は縦中横] 頭のよすぎる夫
 どうせ見透され尽すのですから、なまじい夫に対する心のつくりかざりをせず、正直に無邪気にともに暮すべし。

(6)[#「(6)」は縦中横] 交際下手な夫
 交際下手な夫を持った妻は、相手の人が夫の気象を呑み込むまで…

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