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商売の繁昌する家
しょうばいのはんじょうするいえ
作品ID45555
著者田中 貢太郎
文字遣い新字新仮名
底本 「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」 学研M文庫、学習研究社
2003(平成15)年10月22日
入力者Hiroshi_O
校正者noriko saito
公開 / 更新2010-11-14 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 芝公園大門脇に『わかもと』の本舗がある。その『わかもと』の事務所は、寺院の一部であった。観相家の松井桂陰君が某時その『わかもと』の某君を訪問した時、
「あなたのところは、どうしてこんなところに事務所を置くのですか」
 と云って訊いてみると、
「これには面白い話があるよ」
 と冒頭して話した。
「わかもと」の主人長尾欽弥君がそこへ入って、製薬に著手した時には、貧乏のどん底であったが、忽ちめきめきと発展を遂げたので、狭くはあるし、寺の中にいるのも厭だから、他へ移転しようと思って、それを住職に話したところで、住職が因縁話をしてそれを留めた。それはここへ入った者で失敗した者がない。伊東胡蝶園もここへ入って金を作った。その次に入ったのが不動銀行の牧野元次郎君であった。だから引越さない方がいいだろうと云うので、何千万円と云う大資産を作り、店は倍繁昌して狭い寺の中では不自由であるが、それで出ないとの事であった。



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