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今後の寺院生活に対する私考
こんごのじいんせいかつにたいするしこう
作品ID45786
著者坂口 安吾
文字遣い新字旧仮名
底本 「坂口安吾全集 01」 筑摩書房
1999(平成11)年5月20日
初出「涅槃 第一巻第二号」原典研究会、1927(昭和2)年3月1日
入力者tatsuki
校正者noriko saito
公開 / 更新2009-05-22 / 2016-04-04
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 寺院に特殊な生活があるとすれば禁欲生活より外にはないと思はれます。しかし一般人間に即した生活即ち情欲や物欲に即した生活のあることを忘れる訳には行きません。寺院の人々は禁欲生活を過重し勝ちでとかく所謂煩悩に即した生活の中にも道徳律や悟脱の力のあることを忘れてゐる様です。禁欲生活が道徳的に勝れてゐる理由もなく、又特に早く悟れる理由もありません。生活はその人の信条で生きるもので要するに何でもかまひませんが、愛欲の絆もあきらめられない。禁欲生活の外分も保ちたいなんてのは、随分あさまし過ぎると思はれます。むしろ一般の欲に即した生活を土台にして出直すのが本統ではありますまいか。



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