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世界の日本乎、亜細亜の日本乎
せかいのにほんか、あじあのにほんか
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「明治文學全集 36 民友社文學集」 筑摩書房
1970(昭和45)年4月30日
初出「國民之友」1895(明治28)年4月13日
入力者kamille
校正者川山隆
公開 / 更新2008-07-04 / 2014-09-21
長さの目安約 8 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

日本は自ら足れりとする乎。將た之を廣大ならしむべき乎。偉大を好む國民は、自ら進みて此の問題を解釋し、國人が發見したる新島嶼を收并するをすら拒絶して、以て退守自ら安ぜんとせる當局を刺激して、日本を廣大ならしむ。知らず廣大にせられたる此の日本をして、『世界の日本』たらしめんとする乎。抑もまた『亞細亞の日本』たらしめんとする乎。
世は戰勝の凱歌に醉ふて、頻りに世界の日本と號し、地球上の大國民と號し、揚々乎として前後を察せず。然も知らずや、此中、日本を以て亞細亞に繋け、日本人民を蒙古人種に係け、日本の勝利を以て亞細亞文明勝利の兆となし、之を以て歐西人種に反抗せしめ、之を以て歐西文明を敵視せしめ、所謂る『世界の日本』をして『亞細亞の日本』たらしめんとする者あるを。『世界の日本』と『亞細亞の日本』と、唯だ是れ言語の相違なるが如し。併かも其國民の精神に影響する所に至ては、絶大の相違ある也。
『世界の日本』は、亞細亞、歐羅巴の地理的空名の上に超然として、直ちに日本を以て、世界に繋なぐる也。東洋と云ひ西洋と云ふ歴史的事實に頓着せず、其國民の偉大を養ふ要素を、世界の凡べての部分より吸收せんとするもの也。黄人と云ひ、白人と云ふ、人種的區別を顧慮せず、世界の凡べてに、恩光を賦與せんと欲するもの也。若し戰ふべくんば、世界の凡べてを相手として戰ふもまた辭せざらんとし、若し親しむべくんば、人種、地理、歴史、恩讐の別を問はずして、親しまんとするもの也。其志望や大、其氣象や高、其勢や順、其理や適、是れ、支那海の盡くる所、太平洋の初まる所に國を起し、世界東西の文明を呼吸し、高きに據つて、亞細亞思想(若し此の如きものありとせば)の頑固なる塊土とも云ふべき支那に向つて、大打撃を與へたる時勢が生み出せる、正統の子たる也。夫れ支那は稍[#挿絵]我と人種を同じくし、等しく亞細亞洲中にあり、而して其文明は曾て一たび、我國民を嚮導せり。然かも吾人は、人種、歴史、地理を顧慮せず、斷々乎として撃つて之を懲らす。征清の大業中、固より人種、歴史、地理の異同なく、世界の文明により、世界の勢により、世界の道理により、世界の利益のため、世界的大運動に出でしやまた明白ならず耶。
『亞細亞の日本』とは何ぞ。世界と云ひ、亞細亞と云ふ、獨り其の大小の差あるのみならず、性質に於て全く相反す。『亞細亞の日本』と云ふは、地理的空名の上に超然たる大國民をして、退きて偏隅に割據して、地理的空名に掣肘せられしむる者也。人種の區別に制せられざる大國民をして、人種的嫉爭の狹隘界に退かしむるもの也。東西文明の英華を食ひ、世界の高所に立つ國民をして、退きて東洋歴史の惰力に制せられしむる也。即ち世界を相手とし、世界の高所に立ち、世界の順勢に乘じ、世界の力を消化集中し、世界の道理に據るの大運動をして、地方的、偏安的、地理的、人種的ならしめ、大運動の『偉…

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