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六羽の白鳥
ろくわのはくちょう
著者
翻訳者楠山 正雄
文字遣い新字新仮名
底本 「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」 小峰書店
1949(昭和24)年1月20日
入力者浅原庸子
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2012-06-04 / 2014-09-16
長さの目安約 14 ページ(500字/頁で計算)
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本文より



 ある国の王さまが、大きな森のなかで、狩をしたことがありました。王さまは、一ぴきけものをみつけて、むちゅうで追って行きました。お供のけらい衆のうち、たれひとりあとにつづくことができないくらいでした。するうち日がくれかけて来たので、王さまは追うことはやめて、立ちどまったまま見まわしてみて、森にまよいこんだことがわかりました。どこか出る路はないかとさがしましたが、みつかりませんでした。ふとみると、むこうからひとりのばあさんが、あたまをゆすぶりゆすぶりやって来ました。これはただのばあさんではなくて、魔法つかいの女でした。
「おばあさん、この森を出る道をおしえてくださらんか。」と、王さまはいいました。
「はいはい、王さま。」と、ばあさんは、こたえました。「それはおやすいご用でございますが、ただそのかわり、ひとつおやくそく願うことがございます。それをそのとおりしていただきませんと、王さまはこの森をけっしてお出になることができませんし、それなりかつえ死になさらなくてはなりません。」
「それはどんなやくそくだろう。」と、王さまはたずねました。
「わたくしに、ひとり、むすめがございます。」と、ばあさんはいいました。「うつくしいむすめでございまして、それはまず、王さまがこの世界で、ふたりとお手に入れることはできまいとおもわれるほどで、まったく王さまのお妃として不足はございません。いかがでしょう、むすめをお妃になさいますか、そうすれば森を出る路をおしえてさしあげましょう。」
 王さまはどうなることか心配で胸がいっぱいでしたから、ばあさんのいうとおりしょうちしたので、ばあさんは王さまを自分のこやへつれこみました。こやの中には、むすめが火にあたっていました。むすめはさも王さまのくるのがわかってでもいたように、いそいそ立ってむかえました。王さまがみると、なるほどずいぶんうつくしいむすめでしたが、どうも気に入りませんでした。顔をみているうちに、なんとなくぞうっと引きこまれるようなかんじがしてなりませんでした。それでもむすめをいっしょの馬にのせると、ばあさんははじめて王さまに路を教えました。それで、王さまはやっとお城にかえれたので、さっそく、ご婚礼の式があげられました。
 さて、この王さまは、まえにいちど結婚なさったことがあって、そのお妃に、男の子が六人、女の子がひとり、つごう七人のお子がありました。そして王さまは、世界じゅうのどんなものよりも、このお子たちをだいじにしていました。で、こうなると、こんどのままおかあさまが、こどもたちにやさしくしないで、とんでもないひどいことでもされてはときづかって、森のおくにぽつんと立っている御殿のなかに、お子たちをつれて行きました。
 この御殿は、ひとがみてもわからないようになっていて、おまけに、そこまで行く路をみつけるのがとてもむずかしく、王さ…

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