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探検実記 地中の秘密
たんけんじっき ちちゅうのひみつ 
副題29 お穴様の探検
29 おあなさまのたんけん
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「探檢實記 地中の秘密」 博文館
1909(明治42)年5月25日
入力者岡山勝美
校正者岩澤秀紀
公開 / 更新2012-03-12 / 2015-05-21
長さの目安約 17 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

――大評判の怪窟――探檢の勢揃――失敗の第一日――二日目――迷信家の大氣[#挿絵]――大發見?――探檢の本舞臺――最初の入窟者――怪窟の構造――其結果――

 大評判の怪窟※[#感嘆符三つ、262-10]それは、東京と横濱との中間で、川崎からも鶴見からも一里足らずの處である。神奈川縣橘樹郡旭村大字駒岡村瓢簟山の東面部に其怪窟はある。
 發見したのは、明治四十年四月の四日で、それは埋立工事に用ゐる爲に、山の土を土方が掘取らうとして、偶然に其怪窟を掘當てたのであるが、窟の中から人骨や武器や玉類や土器等が出たので以て、圖らず迷信家の信仰心を喚起し、或は又山師輩の乘ずる處となつて、忽ちの間に評判大評判『お穴樣』と呼び『岩窟神社』と唱へ、參詣人引きも切らず。日に何千人、時としては何萬人と數へられ、お賽錢だけでも日に何百圓といふ揚り高で、それに連れて今までは寂しかつた田舍道[#ルビの「ゐなかみち」は底本では「ゐなかみつ」]に、軒を並べる茶店やら賣店やら、これも新築三百餘軒に達したとは、實に驚くべき迷信の魔力※[#感嘆符三つ、263-9]
 面喰つたのは神奈川縣の警察部で、斯くの如き迷信を、成すが儘に増長[#ルビの「ぞうちやう」は底本では「ぢうちやう」]さしては、保安上容易ならぬ問題であるといふので(それに濫りに神社呼はりを爲る事は法律の許さぬ處でもあるので)奉納の旗幟、繪馬等を撤せしめ、窟から流出する汚水[#ルビの「をすい」は底本では「をす」]を酌取るを禁じ、警官を出張さして嚴に取締を付けたのであるが、それでも參詣人は一向※[#「冫+咸」、U+51CF、263-13]じ無い。晝夜の差別なく、遠近から參集する愚男愚女は、一里の道を引きも切らず。
 其所で、其岩窟なる物が、抑も何んであるかを調べる必用を生じ、坪井理學博士の第一の探檢調査となつた。それは九月十二日であつた。
 實は博士をわざ/\勞するまでも無かつたので、これは古代の葬坑で、横穴と通稱するもの。能く調べたら全國到る處に有るかも知れぬ。現在に於ては、九州、四國から、陸前、陸奧、出羽の方まで掛けて三十五ヶ國に亘り發見されて居るので、加之横穴は一ヶ所に群在する例が多いのだから、穴の數を算したら、どの位有るか知れぬのである。中で最も名高いのは、埼玉縣の吉見村の百穴(實數二百四十餘)である。
 それから、今度發見された駒岡附近にも、既に已に澤山横穴[#ルビの「よこあな」は底本では「よつあな」]が開發されてあるのだが、扨て、果報なのは今回のお穴樣で、意外の人氣を一個で背負つて、眞に希代の好運兒、否、好運穴といふべきである。
 横穴は何處までも横穴であるが、内部の構造に多少注意すべき點もあり。それから瓢簟山の頂上に於て、埴輪土偶を二個發見した關係から、四ヶ處の隆起せる山頂を以て、古墳では無いかといふ疑問を生じ、若し其隆起せる…

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