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人口論
じんこうろん
副題03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
03 だいさんぺん じんこうげんりよりしょうずるがいあくをじょきょするもくてきをもってかつてしゃかいにていあんまたはじっしされたしゅじゅのせいどまたはほうさくについて
原題AN ESSAY ON THE PRINCIPLE OF POPULATION
著者
翻訳者吉田 秀夫
文字遣い新字新仮名
底本 「各版對照 マルサス 人口論3」 春秋社
1949(昭和24)年4月10日
入力者京都大学電子テクスト研究会入力班
校正者京都大学電子テクスト研究会校正班
公開 / 更新2010-06-22 / 2014-09-21
長さの目安約 506 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

第一章 平等主義について――ウォレイス――コンドルセエ

(訳註)

 〔訳註〕本章は第一版から現われているものであり、その第八及び第九章に当る。若干の訂正はその都度訳註で指摘することとする。
 人類の過去及び現在の状態を、以上二篇において見たような見解から観察した人にとっては、人間及び社会の可完全化性を論ずるすべての人達が、人口原理に関する議論に留意しながら、これを極めて軽視し、そしてすべてこれから生ずる困難をもってほとんど測り難い遠い将来の事であると考えているのは、驚くべきことたらざるを得ない。この議論そのものがその全平等主義を破壊してしまうほどの重大性を有すると考えたウォレイス氏でさえ、全地球が花園のように耕やされ、これ以上の生産物の増加が全く不可能になるまでは、何の困難もこの原因からは生じないと思ったようである。もしこれが真に事実であり、そして美しい平等主義が他の点では実行可能であるとすれば、かかる計画を追及せんとする吾々の熱望がかかる遠い将来の困難を考えて冷却せしめらるべきであるとは、考え得ない。かかる遠い将来の出来事は神に委ねて差支えなかろう。しかし実際のところは、もし本書の見解が正しいとすれば、この困難はそんなに遠い将来のことでは決してなく、実は目前切迫のものである。もし人類が平等であるとすれば、現在の瞬間から全地球が花園のようになる時まで、耕作の発達上あらゆる時期において、食物の欠乏による窮迫が不断に全人類を圧迫するであろう。土地の生産物は毎年増加していくであろうが、しかし人口はこれよりも遥かに急速に増加する力を有ち、そしてこの優越せる力は、必然的に、道徳的抑制、窮乏、及び罪悪の、週期的のまたは不断の作用によって、妨げられざるを得ないのである。
 コンドルセエ氏の『人類精神発達史論梗概』Esquisse d'un Tableau Historique des Progr[#挿絵]s de l'Esprit Humain. は、ついに彼を死にまで至らせた残酷な迫害の圧迫の下に書かれたものと云われている。彼がもし、この書がその存命中に読まれてフランスの賛同を得るという希望がなかったのであるならば、これはまさに自己の主義を日常の経験がかくも残酷に裏切っているのになおこれに忠実な人物の特異の一例である。世界の最も開けた国の一つにおける人間の精神が、最も野蛮な時代における最も野蛮な民族ですらこれを恥辱とする如き忌わしい情欲や恐怖や残忍や悪意や復讐や野心や狂暴や愚劣の擾乱によって汚されているのを目にするのは、人類精神の必然的不可避的進歩に関する彼れの思想に対し恐るべき衝撃であったに違いなく、従っていかなる出来事が起ろうとも自己の主義の正しいことを確信するのでなかったら、これに耐えることは出来なかったであろう。
 この遺著は、彼が完成しようと企てた遥かにも…

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