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東西伊呂波短歌評釈
とうざいいろはたんかひょうしゃく
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「日本の名随筆70 語」 作品社
1988(昭和63)年8月25日
入力者渡邉つよし
校正者門田裕志
公開 / 更新2002-12-21 / 2014-09-17
長さの目安約 11 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 東京と西京とは、飲食住居より言語風俗に至るまで、今猶頗る相異なるものあり。それも、やがては同じきに帰す可けれど、こゝしばらくは互に移らざらむ歟。そは兎まれ角まれ、小児の年の初に用ゐて遊ぶ骨牌子に記されたる伊呂波短歌などいふも、東京のと西京のとは、いたく異なりて、其の同じきものは四十八枚中わづかに二三枚に過ぎざるぞおもしろき。今試に東西に行はるゝところのものを取りて之を比較せん。
東 狗も歩けば棒にあたる
西 いや/\三盃
 東のは、事を為すものは思はぬ災を受くることありといふ意、又は其の反対に、才無き者も能く勤むれば幸を得ること有りといふの意にして、西のは、其の語の用ゐらるゝ場合不明なれども、既に人の客たれば、いや/\ながらも三盃を斟むべし、といふ意か、いや/\三盃又三杯とつゞけてもいふことあれば、薄[#挿絵]の酒を酌むに、いや/\ながらも杯を重ぬれば、其の中にはおのづから酔ひて之を楽むに至るといふことを云へるか、或は又虚礼謙譲の陋しきを笑へる意の諺なるべし。
東 論より証拠
西 論語読みの論語知らず
 東のは寸鉄人を殺すの語、西のは冷罵骨に入るの句なり。
東 花より団子
西 針の孔から天
 東のは徒美の益なく、実効の尊ぶべきを云ひ、西のは小を以て大を尽す可からざることを云へるにて、東京の、よの字の短語「よしの髄より天」といへると其の意おなじ。古は西のは、「八十の手習」といへるなりしとか。
東 にくまれ子は世にはびこる
西 おなじ
 舐犢の愛を受けて長ずるものを貶して、祖母育ちは三百廉いといへる諺に引かへ、憎まれ子の世に立ちて名を成し群を抜くことを云へる、東西共に同じきもおもしろし。
東 ほね折り損のくたびれ儲け
西 ほとけの顔も三度
 徒労の身を疲らす有るのみなるを嘆じたるは東の語、慈顔も之を冒すこと数[#挿絵]すれば怒ることを云へるは西の語なり。
東 屁を放つて尻すぼめ
西 下手な長談義
 東は後悔のはかなきを笑ひ、西は拙者の人を苦むるを嘲りたり。
東 年寄の冷水
西 豆腐に鎹
 老人のなまじひに壮者を学ぶを危めるは東の諺、鉄釘至剛なるも至軟の物を如何ともする能はざるを歎ぜるは西の語。
東 塵積つて山
西 地獄の沙汰も金
 東は小善小悪も之を易り之を軽んず可からざるを云ひ、西は黄金の力の広大無辺なるを云へるなり。
東 律義者の子沢山
西 綸言汗の如し
 東は花柳に沈湎せざるもののおのづからにして真福多く天佑有るを云ひ、西は帝王の言の出でゝ反らざることを云へり。
東 ぬす人の昼寐
西 ぬかに釘
 守る者は足らず、攻むるものは余りあるを云へるは東の語也、抵抗せず又随順せざる者の如何ともしがたきを云へるは西の語なり。
東 るりもはりも照せば光る
西 類を以て聚る
 美玉日に遇へば各[#挿絵]其の光を発するを云へるは東、類を以て聚まり群を以て分れて吉凶の生ずる…

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