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日記
にっき
副題13 一九二七年(昭和二年)
13 せんきゅうひゃくにじゅうしちねん(しょうわにねん)
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第二十四巻」 新日本出版社
1980(昭和55)年7月20日
入力者柴田卓治
校正者青空文庫(校正支援)
公開 / 更新2015-03-13 / 2015-08-27
長さの目安約 83 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

一月六日(木曜)
 Y、鈴木病院に胃を見て貰いにゆく。自分あとより。胃わるくない由。酸がある由。
 ただゴムをのむとき喉に無理が出来ていたいと云い、三田の東洋軒でスープと魚だけたべる。
 かえりフィリッポフ
 真直かえる。

 この日記、三田通りの丸善でレストランをきくためにいそいで買ったので、こんなのになってしまった。

一月七日(金曜)
『文芸春秋』のために、小説を書く。

一月十日(月曜)
 風の工合どうもよろしからず。一日床につく。
 Y、会、買物。

 松川やより返事。今が温泉にはよいときの由。寒温泉とか云う。
 Y行けばよし。自分行かれるのはいやだが、余り一人で生活出来ず不安でたまらないから却って今度は行ってくれるとよいと思う。

一月十一日(火曜)
 サダをうちにやる。ゆきに、秋庭さんのところへよって、十五日のお招きをさす。
 午後、自分で来。キレイな花。桜草、シクラメンの束。きのうY出かけ、三越でドテラの布を買い、花の道具も買って来たので、三人でやる。面白し。
 夕飯ありあわせですませ、秋庭さん十一時すぎてかえる。

一月十三日(木曜)
 Yの留守のため、仕事す。

 この日記十七日につけて居るのだが……

 モヤー御歳暮が間に合わなかったと云って、丸善で迚もよいチョコレート色の手袋を(皮の)買って来てくれた。うれし。うれし。
 自分鞣の手袋すきだがもう幾年もしなかった。

一月十四日(金曜)
『ウーマンカレント』のために感想「是は現実的な感想」。
 Y、しきりに興がり、「ベコに感想かかすといいんだがな」
 然し自分感想を書くのが本業でなく、今、書きたいなに押されてかくからよいので、これが本業で、短いものをあとからあとから書いて居たのではたまらず。
 それを出しがてら、明日の仕度に買いものに出たら、あとから林町の連中来た由。かえって、置いてあるミカン、おせんべい、のり、など見たらいやな心持がした。さあ百合ちゃんのところへ行こうと出て来たのに居ず。それだけでなく床にでもついて居るのかと思って来たら。――では閉口だろう。

一月十五日(土曜)晴 暖
 今日は十五日正月。ことしの正月は二人で家に居る始めての正月故遊ぼうということで、人を呼ぶ。
 山内三人、宍戸、苅田、お澄さん、横田、小野。五郎の娘十七、手伝いに来る。サダ、その娘の来ようがおそかったので大あわて。少しふくれて居たところへ来たのは結構。
 夕飯、後、トトでや、かかでや、その他して遊ぶ。食前、自分、トランプで、恋愛判断をやる。Y、自分の恋愛を占われるとき、むきになり、未来は未来は、と云う。よいのが出なかったので一寸いや。ベコのもそうなり。恋など一つも現在未来になし。ふざけ、それは淋しやと云ったが本音なり。当らぬのを、やはり身に引きそえて、ウム当ってる、当ってる、と云うところ面白し。苅田さ…

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