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アッシェンプッテル
アッシェンプッテル
作品ID46344
副題―灰かぶり姫のものがたり―
―はいかぶりひめのものがたり―
原題Aschenputtel
著者グリム ヴィルヘルム・カール / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
翻訳者大久保 ゆう
文字遣い新字新仮名
入力者大久保ゆう
校正者
公開 / 更新2006-05-18 / 2019-01-27
長さの目安約 17 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 だんなさんがお金もちの、ある女のひとがいました。その女のひとは、びょうきでねこんでいました。もうながくはない、と女のひとはおもって、じぶんのうんだ、たったひとりのむすめを、まくらもとによんで、こういいました。
「いつもおもいやりのある子でいるんですよ。わたしはおそらの上から、あなたのことを、ずっと見まもっていますからね。」
 まもなく、女のひとはめをとじて、いきをひきとりました。にわに、おはかがつくられました。このおさない少女は、くる日もくる日もおはかへ行き、なみだをながしました。そして、お母さんのいうとおりに、いつでも、だれにでもしんせつでいました。
[#挿絵]
 やがてゆきがふり、あたりいちめんまっ白になって、おはかも銀いろにおけしょうをしました。でも、もうすぐ、はるがやってくるというころに、おひさまのひかりで、みんなとけてしまいました。ちょうどそんなときでした、お父さんはべつの女のひとと、けっこんしてしまったのです。この女のひとは、じぶんのむすめをふたり、いえにつれてきました。さんにんとも、みためはとてもきれいでしたが、こころはまっ黒だったのです。
 かわいそうに、少女にとっては、つらい日々のはじまりだったのです。
「このやくたたず! こんなところで、なにやってるの! はたらかざるもの、食うべからず、っていうじゃないの。あんたなんか、皿あらいくらいがおにあいよ!」
 といって、少女のドレスをみんなとりあげたあげく、ぼろぼろになった灰色のワンピースをおしつけました。少女はわらわれて、しかたなくだいどころに行くのでした。
 まっていたのは、つらいしごとのれんぞくでした。おひさまが顔を出すまえにめをさまして、水くみ、かまどのたきつけ、ごはんづくり、皿あらい。それだけではありませんでした。ふたりの姉は、少女をいろいろいじめたあげく、わらいものにしました。
 ひがくれると、少女はへとへとになってしまいます。けれども、ベッドもありませんから、かまどのあるへやへいって、灰にまみれながら、からだをよこにするしかありませんでした。ですから、少女はいつも灰だらけで、よごれていました。そこで、少女は『灰かぶり』といういみの、『アッシェンプッテル』という名まえでよばれました。
 ある日のこと、お父さんがおまつりに行くことになりました。まず、今のおくさんのむすめたちに、なにがほしい、とききました。すると、上の姉がこういいました。
「きれいなドレスがいいわ。」
 いっぽう、下の姉はこういいました。
「しんじゅと、ほうせきがたくさんほしい。」
 さいごに、じぶんのじつのむすめの、アッシェンプッテルにききました。
「おまえは、いったいなにがほしいんだい?」
 アッシェンプッテルはこういいました。
「おまつりからのかえりみち、お父さまのぼうしに、いちばんさいしょにひっかかった小えだで…

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