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シンデレラ
シンデレラ
作品ID46348
副題―ガラスのくつのものがたり―
―ガラスのくつのものがたり―
原題Cinderella, or the Little Glass Slipper
著者ラング アンドルー
翻訳者大久保 ゆう
文字遣い新字新仮名
入力者大久保ゆう
校正者
公開 / 更新2006-05-18 / 2014-09-18
長さの目安約 18 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#挿絵]
 むかしむかし、ひとりの男のひとがいました。男のひとはある女のひとと二かいめのけっこんをしたのですが、その女のひとは、いつもえらそうにして、お高くとまっているひとでした。女のひとにしても二かいめのけっこんでして、前のだんなさんとのあいだに、ふたりのむすめをもうけていました。そのむすめたちときたら気まぐれで、ほんとうに何から何まで、その女のひとにそっくりでした。同じように男のひとも、前のおくさんとのあいだに、おさないむすめがいました。それはそれはだれよりもおもいやりがあって、お母さんゆずりのやさしい心をもった少女で、せかいでいちばんうつくしい心のもちぬしといってもいいくらいでした。
 けっこん式がとりおこなわれてまもなく、まま母はその本性をあらわしはじめました。かわいらしくて、人がよい、この少女がいると、じぶんのむすめがなんともみじめにおもわれるので、ひどくじゃまにおもえました。そこで少女を、とびきりみじめなしごとにつかせようとおもいたちました。お皿をじゃぶじゃぶ洗わせ、テーブルをごしごしふかせ、じぶんやむすめたちのへやをめいっぱいそうじさせました。へやまでみじめにしようと、せまくてくらい、やねうらべやにおいやってしまいました。ベッドもなく、そこにはわらがどさりとおいてあるだけでした。でもじぶんのむすめたちには、それぞれ、きらきらのきれいなへやにすまわせ、ベッドも今はやりのベッド、おいてあるかがみはあたまからつまさきまでうつせるほどの、それはそれは大きなものでした。
[#挿絵]
 かわいそうに、少女はがまんするしかありませんでした。たとえお父さんにいったところで、いそがしいといって、とりあってくれないからです。きいてくれたとしても、お父さんはあの女のひとのいいなりですから、どうにもなりません。
 少女はしごとがおわると、いつもかまどのあるこべやへ行きました。そこはもえがらと灰でいっぱいで、いつもその中ですわっていました。そのためみんな少女を『灰むすめ』とよびましたが、ちょっとべんきょうのできる下の方の姉が、もうすこしきれいな名まえでよぼうと、『灰かぶりひめ』といういみの、『シンデレラ』という名まえをつけました。
 シンデレラは灰だらけで、きたなくみえたかもしれませんが、ほんとうの顔は姉たちより百ばいもりりしかったのです。姉たちがいくらきれいなドレスをきても、かないっこありません。
 あるとき、王子さまがダンス・パーティをひらくことになりました。お金もちの人や、ゆうめいな人など、いろんな人がまねかれました。シンデレラのいえの、ふたりの姉も、服がきれいでひときわ目立っていたので、もちろん声がかかりました。ふたりはおおよろこびで、さっそくドレスはどれにしようとか、ペチコートはどんなのにしようとか、あたまに何をかざろうとか、あれこれなやみはじめました。けれ…

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