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京都人の夜景色
きょうとじんのよげしき
作品ID46407
著者村山 槐多
文字遣い新字旧仮名
底本 「ふるさと文学館 第三十巻」 ぎょうせい
1993(平成5)年7月15日
初出「槐多の歌へる」アルス、1920(大正9)年
入力者浦山敦子
校正者noriko saito
公開 / 更新2007-04-09 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


ま、綺麗やおへんかどうえ
このたそがれの明るさや暗さや
どうどつしやろ紫の空のいろ
空中に女の毛がからまる
ま、見とみやすなよろしゆおすえな
西空がうつすらと薄紅い玻璃みたいに
どうどつしやろえええなあ

ほんまに綺麗えな、きらきらしてまぶしい
灯がとぼる、アーク燈も電気も提灯も
ホイツスラーの薄ら明かりに
あては立つて居る四条大橋
じつと北を見つめながら

虹の様に五色に霞んでるえ北山が
河原の水の仰山さ、あの仰山の水わいな
青うて冷たいやろえなあれ先斗町の灯が
きらきらと映つとおすわ
三味線が一寸もきこえんのはどうしたのやろ
芸妓はんがちらちらと見えるのに

ま、もう夜どすか早いえな
お空が紫でお星さんがきらきらと
たんとの人出やな、美しい人ばかり
まるで燈と顔との戦場
あ、びつくりした電車が走る
あ、こはかつた

ええ風が吹く事、今夜は
綺麗やけど冷めたい晩やわ
あては四条大橋に立つて居る
花の様に輝く仁丹の色電気
うるしぬりの夜空に

なんで、ぽかんと立つて居るのやろ
あても知りまへんに。



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