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豚と猪
ぶたといのしし
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「夢野久作全集7」 三一書房
1971(昭和46)年1月31日
初出「九州日報」1923(大正12)年11月2日
入力者川山隆
校正者土屋隆
公開 / 更新2007-08-08 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 豚が猪に向って自慢をしました。
「私ぐらい結構な身分はない。食べる事から寝る事まですっかり人間に世話をして貰って、御馳走はイヤと言う程たべるからこんなにふとっている。ひとと喧嘩をしなくてもいいから牙なんぞは入り用がない。私とお前さんとは親類だそうだが、おなじ親類でもこんなに身分が違うものか」
 猪はこれを聞くと笑いました。
「人間と言うものはただでいつまでも御馳走を食わせて置くような親切なものじゃないよ。ひとの厄介になって威張るものは今にきっと罰が当るから見ておいで」
 猪の言った事はとうとう本当になりました。豚は間もなく人間に殺されて食われてしまいました。



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