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鉛筆のシン
えんぴつのシン
作品ID46719
著者香倶土 三鳥 / 夢野 久作
文字遣い新字新仮名
底本 「夢野久作全集7」 三一書房
1970(昭和45)年1月31日
初出「九州日報」1924(大正13)年2月7日
入力者川山隆
校正者土屋隆
公開 / 更新2007-08-02 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 子供が鉛筆を削っているとあまり無茶に削るので何べんでもシンが折れました。
「このナイフがわるいのだ」
 と子供は言ってナイフを磨いでコシコシ削りましたが、やっぱりポチポチと黒いシンが折れます。
「この鉛筆がわるいのだ」
 と子供はカンシャクを起して鉛筆を折ってしまいました。
「もっといい鉛筆でなくちゃ駄目だ」
 鉛筆は折られながら言いました。
「あなたの心をもっといいのにとりかえなくちゃ、いくらいい鉛筆を買ってもだめです」



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