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養生の心得
ようじょうのこころえ
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「福澤諭吉全集 第20卷」 岩波書店
1963(昭和38)年6月5日
入力者田中哲郎
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-06-07 / 2014-09-16
長さの目安約 13 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

總論
一、人間生涯の内、體ほど大切なるものはなし。諺に云ふ通り命の物だねなれば、何職何商買に限らず、先第一己の體を養生し、病氣に懸らぬよう注意て、其上病む時は早く醫治を受けて、天壽を終るの道を知る事、人間要用の心得なるべし。
一、醫は病氣を治す計りの職業に非ず。其病氣の出來ぬように養生法を吟味し人に傳へて、千人病むものは五百人にてすみ、五百人は二百にてすむように致し、其上病むものは早く治るように療治致し、總て人體を強壯にし、長命させるように心を用ゆる事、是醫道の根本なり。
一、世人、養生と思ふて不養生をなし、不養生と思ふ事返て養生になる事あり。或は知らずに不養生をなす事澤山有り。故に今平常素人の心得置くべき養生の事を有増爰に載するものなり。
婦人妊娠中心得の事
一、婦人妊娠して子孫を永續するは天道の大本にして婦人第一の職業なれば、先妊娠する時は身持を大切にし、小兒生れて後は無事に成人せん事を願ふ。是人間一般の人情なり。されば胎内に有る時、成丈け胎子に障らぬよう萬事注意ねばならぬ筈なり。依て其有増の心得を次にしるさん。
一、懷妊中は別して五體を大切にし病氣に罹らぬ樣注意ねばならぬ故に、先食餌を吟味し精々榮養のものを用ひ、むら喰せぬよふに心懸べし。尤も人に寄りて惡咀の爲に二、三ヶ月目に嘔氣強くして思わしく喰ふ事の出來ぬものあり。此時には強て喰ふ可からず。隨意に少々宛度々喰ふをよしとす。勿論非常に惡咀の強き婦人は藥用せねばならぬなり。
一、是まで日本國中爲す事なれ共、腹帶を強く るは大にわろく、親子共に不爲なる事なり。月重りて後、少々腹ごたへの爲に木綿巾のまゝにて二重三重輕く腹を卷く事は差したる障りもなし。
一、懷妊中はは成丈寢起を柔にし、月重りて後は一入轉ばぬように氣を付けるべし。轉びたり落たりする時は、胎内の子の位置を動し難産の恐れあり。故に高き所へ登らず深かき所へ臨ぬよにし、椽の上り下りも精々愼むに如かず。
一、臨月に至りて腹痛起り彌催しのある時は、産蓐につき心を靜に保ち分娩は勿論なれども、萬一少し手間取れるとも決して心配する事なく、成丈心を靜めるべし。
一、産後に坐りて幾日も暮す事、是又日本の惡風なりて、此爲に起る惡しき事色々あり。追々に止まる樣に致し度事なり。尤も蒲團の頭の方を足の方より少々高くし、一面に少し坂になるように床を拵ひ、安樂に臥せる事、大によし。
一、懷妊中の心得を精しく咄す時は、此一、二枚の紙に載せがたく且平常の婦人に守り難きを以て、只其旨を擧るのみ。
小兒養育の法
一、小兒生れて後二、三日の間マクリを呑せ其母の乳を吸せぬ事、今までの風俗なれども、是は返てわろし。生湯すまして後、間もなく其母の乳を吸せるに如ず。何なれ生乳は少しく稀薄くして酸味を持ち極緩き下劑となる故に、生子の  を下すに丁度よきものにて、是天然神の授け給ふ誠に都合よき事なり…

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