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桜と狆と愛国心
さくらとちんとあいこくしん
副題コスモポリタンの心理
コスモポリタンのしんり
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「現代ユウモア全集 第二卷 堺利彦集」 現代ユウモア全集刊行會
1928(昭和3)年10月20日
入力者Juki
校正者染川隆俊
公開 / 更新2011-06-04 / 2014-09-16
長さの目安約 6 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 一體コスモポリタンといふ言葉の正確な意義はどういふのだらう。私には先づ此の疑問が起つた。そこで『井上英和辭典』を引いて見ると、斯うある。
 名詞=四海を家とする人。一所不住の人。世界的の人。世界主義者。
 形容詞=世界主義の。宇宙的。非地方的。四海を家とする。一所不住の。一視同仁の。國家的觀念を超脱せる。
 之で大抵分るには分つたが、更にセンチユリー・ヂクシヨナリーを引いて見ると、斯うある。
 名詞=One who has no fixed residence(一定の住所を持たぬ人)、one who is free from provincial or national prejudices(地方的又は國家的偏見を離脱した人)、one ewho is at home in every plac(如何なる場所をも我家とする人)、a citizen of the world(世界の民)。
 形容詞=〔一〕Belonging to all parts of the world(世界總ての部分に屬する)、limited or resitricted to no one part of the social, political, economical, or intellectual world(社交界、政治界、經濟界、又は知識界の如何なる部分にも制限されざる)、limited to no place, country, or group of individuals bu common to all(如何なる場所、國、又は個人の集團にも制限されず、其の一切に共通なる)。〔二〕Free from[#「from」は底本では「tfro[#tは上下逆]m」]local, or national ideas, prejudices, or attachments(地方的又は國家的の思想、偏見、又は愛着から離脱したる。〔三〕Widely distributed over the globe, said of plants and animals)廣く全地球上に分布されたる。植物及び動物について云ふ。)
 之だけ讀んだので此の言葉の意義内容が私の頭の中にハツキリして來た。大和魂を表象する、朝日に匂ふ山櫻がコスモポリタン植物でない事は無論である。大日本の妾宅用に制限された狆君が、コスモポリタン動物でない事も亦無論である。日本主義者、帝國主義者、國家主義者、愛國者、國自慢者などがコスモポリタン人でない事も亦た實に無論である。
 然し私自身はどうだ。コスモポリタンか否か。
 私は今、私の少年時代の事を思ひだす。明治十九年、私が初めて九州から東京に遊學に來た時、私の友人や先輩の學生間に、よく斯ういふ話のあつた事を覺えてゐる。『あいつは他國人に交際してゐる。』『あの男は他縣人と懇意にし…

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